不倫、浮気、いじめ、ストーカー、疾走……

およそ探偵が関わる仕事のほとんどはこれに直結しています。

快楽

あらゆるトラブルは快楽を止められないことから発生します。

薬物、ギャンブル、セックス、ゲーム……

全ての快楽は快感を持続させることで、止められなくなり、中毒性があり依存症につながります。

快感さえコントロールできたら、仕事、勉強、ダイエット、人間関係あらゆる悩みが解決して、たくさんの宗教やhow to本が快楽をコントロールすることを推奨しています。

デイヴィッド・J・リンデン「快感回路 なぜ気持ちいいのか なぜやめられないのか」から快感の起こる仕組みと、依存が起こる仕組みをみていきましょう。

 

トラブルを巻き起こす快楽が起こる仕組み

 

動物は快感を求める生き物

1953年カナダで行われたラット実験がありました。

脳の快感を生む部分に電極を差し込まれたラットの前に電極のスイッチを置きます。

スイッチを押すと快感が走る仕組みになっています。

ラットはその仕組みを理解すると、1時間7000回もスイッチを押し続けたのです。

しかも、快感を得るためだったら水も餌もいらない。

文字通り寝食を忘れて快感に溺れます。

同様に、好奇心や安心感を感じる部分を刺激する実験をしましたが、圧倒的に快感刺激が選ばれました。

動物は本能的に快感を求めており、快感に飽きることがないことが分かったのです。

快感が刺激されれば、本人の性癖も変えることができるのか?

1972年のアメリカの実験では、ゲイの囚人に先程のラットと同じような装置を取り付け、しかも快感を刺激するときに、アダルトビデオを繰り返し見せました。

囚人と女性と2人きりにさせると、性行為に及び、囚人は異性愛者に……

もっとも、のちに囚人は刑を終えたあとは、同性愛行為も行っており、性癖が一つ加わっただけというオチになっています。

この実験で、快感の刺激は人間の行動を変えてしまうほど重要なものだと分かります。

快感を司る物質ドーパミン

脳の側坐核から分泌されるドーパミンという物質はやる気や幸福感をもたらす神経伝達物質です。

向精神薬はこのドーパミンの効き目を高める働きがあります。
前述のラットの装置にこの向精神薬を少量ずつ飲める仕組みを追加すると、たちまちラットは薬物依存症になってしましました。

逆にパーキンソン病はなんらかの原因で体内のドーパミンが減少するために起こります。

パーキンソン患者がギャンブル依存症に?

パーキンソン患者はドーパミンが慢性的に一般に比べて低い傾向があります。

性格的にも新しいものを嫌い、内省的で、禁欲的、感情を表に出しません。

逆に薬物依存患者は新しいものに食いつき、衝動的で、怒りっぽく、タバコや酒を一般より好む傾向があります。

そんな中、パーキンソン病患者の間でギャンブル依存症の事例が頻発する事例が発生しました。

ギャンブルには全く無関心な気質のパーキンソン病患者がなぜギャンブルに溺れるのか?

秘密は患者が摂取している薬にありました。

薬にはドーパミンを増やす作用があります。

すると、薬を過剰摂取すると一時的にハイになります。

人工的にギャンブル依存症の人の脳と同じ状態になるのです。

ギャンブル依存症になったパーキンソン病患者の多くは、処方されるより多く薬を摂取していることが分かりました。

快感は悪徳だけでなく美徳になるものにもなる

快感回路を刺激するのは、酒やドラッグなど悪徳と言われるものだけではありません。

エクササイズ、瞑想や祈り、社会的評価、慈善事業、など美徳とよばれるものでも快感は刺激されるのです。

神経から見れば悪徳であれ、美徳であれ区別はありません。
同じ快感をもたらすものなのです。

また快感は、記憶、連想、感情などをつかさどる脳の他の部分にも作用して、さらに私達の身体に刻みこまれていくのです。

性的快感と恋愛的快感は別物

ここで探偵の仕事で一番関わるのが、性と愛の快感です。
結論から言えば、恋愛と性欲の快感は全く別物で分離できます。

恋愛の快感は判断中枢、社会的認知中枢が刺激され、性的快感は視覚処理、注意、運動、の部分が刺激されました。

性欲では肉体が満足され、恋愛では脳が満足するという形でしょうか?

ここで、愛のある交際と、性だけをもとめる交際と違ってくるでしょう。

ここで同じ不倫をしてもサレた方の見解が違ってくるところです。

とある俳優夫婦の夫は若い女優と不倫関係にありました。

2人は恋愛関係だったので、妻は裏切りと感じ、やがて離婚にいたりました。

複数との女性と性的関係をもった芸人でしたが、交際相手に恋愛感情はありませんでした。

愛情は自分の方にあると感じた妻のタレントは離婚しないと断言しています。