メンタリストDaiGoさんがお勧めしている本「クリティカルシンキング」は、私たちがおちいりやすい勘違いなどを排除して、物事を正しく判断する方法を教えてくれます。
この本を読むと、なんだか頭が少しよくなったような気がしますが、これも勘違いかも……
冷静に物事を判断する指標になります。

「クリティカルシンキング入門編」の中から、「ものごとの原因について考える」項目をとりあげ解説します。

 

ものごとの原因を知る方法

 

叱って育てる? ほめて育てる?

 

ある教育熱心な母親が、成績が落ちた息子を叱り飛ばしました。それが刺激になったのかその後の成績はアップしました。
そこで母は息子をほめちぎると、次のテストの成績は下降します。
そこで、母親は結論を下しました。
「叱った方が成績は伸びる」
はたしてこれが正解なんでしょうか?

これは「前ー後論法」と呼ばれ、たまたま同時発生的に起きたことに過ぎないのに、ある1点だけを大げさにとらえて、「自分が叱ったら成績が上がった」と思い込んだと想定されます。
その上、人は自分の行動の成果をとかく過大評価しがちです。
ほめられた後、息子の成績が下がった原因は「平均方向への回帰」と呼ばれ、極端に上昇、下降のある結果は次には平均へ戻っていく傾向があるからです。

つまり、たまたまその時成績が良かっただけで、叱るほめるの因果関係はあまりないようです。

 

顧客満足度№1のからくりとは?

 

英会話教室やITスキルの講座の、「受講したお客様が99%が満足しています」とか「受講後の就職率が100%」をうたっている広告を見かけますが、実はこの調査、完全に最後まで受講した人だけにとったアンケートだったりします。
つまり、合わないなと思ったり、講座の内容に不満を持った人は既に途中で離脱しており、最後まで受講して講座が合っている人と思った人だけがアンケートを書いたものでした。
これは「欠落のケース」と呼ばれ、本当の因果関係とは言えませんね。
このように一見、データに基づいた客観的な事実と見えるものにも数字のからくりみたいなものが存在するので注意が必要です。

 

本当の原因をみつける方法①一致法

 

このように人間というもの思い込みが激しくて、なかなか真の原因にたどりつけないようです。
本当の原因を探るにしても、必ず因果関係につながる要素の中で見落とす可能性が必ずあるので、「この方法をやれば必ず原因はみつかる!」なんて方法はありません。

その事実を頭に入れながら、原因に科学的に近づいていける方法の第一は「一致法」です。
「これが原因ではないかという目星を」仮説Xとすると、状況が変化しても仮説Xが共通項として残るかを検証します。
同じ現象が起きた状況が2つあるとします。
第1現場では、A、B、Cという結果、第2現場では、A、E、Dの結果が出た場合、Aが共通項Xとなり、原因はAという答えが出てきます。

たとえば、食中毒が発生した場合、離れた場所に住んでいる少年と主婦が同時に食中毒を起こします。少年と主婦が1日の間に食べた食事の中で、一致したのは昼間に食べたお弁当で、同じ弁当屋で作られたものだと分かります。

すると、食中毒がその弁当屋で発生していたと原因が特定できるわけです。

しかし、一致法には落とし穴があります。
日替わりで、焼酎、ジン、ウォッカのソーダ割りを飲んでいて、いつも酔っ払うので、「酔っ払う原因はソーダ水である」とトンチンカンなこたえも出る場合もあるのです。

 

本当の原因をみつける方法①一致と差異の併用法

 

一致法が異なる状況の中で一致している部分を探すのに対して、差異法は、異なる状況の違う部分をみつけます。
とは言っても、当然ながら異なる部分の方が多いので、無限に出てきます。
なので、基本的に差異法は一致法と併用して行います。

原因Xが存在するときにYが起こり(一致)、Xが存在しないときにYが起こらない(差異)こと両方を示すことで、必要にして十分な証拠を提示できます。

これは科学的な実験研究の基本です。

例えば喫煙と健康の因果関係をしらべるとき、無作為に選んだグループ2つ用意します。
この場合、被験者の違いは喫煙か、しないかだけにします。
しかし、この実験を人間で行うのはなかなか難しいことが分かります。
喫煙しない人を喫煙させることは難しいからです。

犬を3つのグループに分け、喫煙しない、喫煙する、フィルターつき煙草で喫煙するという実験を行います。

その結果、喫煙しなかった犬は一匹も死ななかったのに対し、喫煙した犬は実験期間中の2年間で28匹死亡し、フィルター付き煙草を使用した犬が死亡したのはそれよりも少ないという結果が出ました。

この実験によって、煙草と健康には因果関係が間違いなくあることが分かります。

 

まとめ

 

実際の「クリティカルシンキング」にはその他、様々な前後論の落とし穴を紹介してあります。
「クリティカルシンキング」の関連本はたくさんありますが、「クリティカル進化(シンカー)論―「OL進化論」で学ぶ思考の技法」が、わかりやすくておすすめです。