名探偵コナンの名前の由来となったシャーロック・ホームズを書いたコナン・ドイル。
医師でもあり、科学的な解明法の元祖のような名探偵ホームズを生み出しながらも、晩年は超常現象を信じてその研究に没頭したようです。
新宿サリン事件を起こしたオーム真理教の幹部信者のほとんどが、高学歴のインテリばかりでした。
なぜ、知性がある人でも、簡単にオカルトにコロッと騙されてしまうのか?
それは信念の持つメカニズムに原因があるようです。
超常現象を信じる現象の特徴
超能力は驚いたことに、いまだかってその能力が科学的にきちんと証明されたことがありません。
これは、霊魂だとかUFOでも同じですね。
長らく「超能力」というものが話題になりながら、一度も証明されていないのに、簡単に信じてしまうのはどういうワケなんでしょう?
超常現象を証明する証拠もなければ、超常現象はないという証明もできないのです。
逆に超常現象はない事実を証明できる手段がないということでしょう。
となると、超常現象を信じる人はこれからも後を絶たないということになります。
その上、超常現象を1度信じてしまうと、信じ込んでしまい、疑いを持たなくなることです。
これはコナン・ドイルの例であきらかです。
なぜ人は自分が信じたものに疑いを持たないのか?
それはひとえに人は自分が騙されたことを認めたがらないからです。
クリティカル=批判的にものごとをみることができない人は、自分の誤りを認めて、事実を客観的に見ることができなくなります。
客観的な判断を妨げるヒューリスティクスとは?
私たちは目の前に理解不能な出来事が発生した場合でも、一つ一つ丁寧に調査・検証をするようなことはしません。
今までの経験と勘を駆使して、検証を簡略化します。
これを利便性ヒューリスティクスと言います。
目の前で起きている現象を、テレビなどの過去の映像情報と結びつける。
誰も頼んでないのに勝手に自分から騙されにいきます。
また、人間は後で知らされた情報より、最初に知った情報を信じ込むクセがあります。
それを代表性ヒューリスティクスといい、最初に超能力者と説明されると、彼が行った奇跡的な行為が手品ではなく、彼の能力で行われたものだと信じます。
Mr.マリックのハンドパワーは当初、手品ではなく超魔術だと紹介されていました。
あまりにも見事な手際に、みんな本当の超魔術=超能力だと信じていたのです。
ところが、マリックさんがマジシャンであると告白すると、信じていた人たちがたちまちバッシングをはじめ、マリックさんは精神的に追い詰められたといいます。
超常現象や占いなどの話題は尽きることなく、視聴率もいいので、マスコミがこぞって取り上げます。
占い師の細木数子さんの番組が各放送局で放送され、オーラで前世を見る番組もありました。
今はまた占いの番組がゴールデンタイムで放送されるようになりました。
テレビ局は話題になるものなら、その真偽はともかくすぐに取り上げます。
視聴者はテレビが取り上げるものなら、信頼できるものだろうと無条件に受け入れます。
メディアが発信する情報を鵜呑みにせずに、冷静に判断するメディアリテラシーが必要です。
誘導される数字
読心術のデモンストレーションで、参加者の一人に1~10までの数の間の1つをイメージしてもらいます。
この場合だと、1~10が全て均等にイメージされると想像するかも知れません。
ところが実際は7が一番多くて30%以上あります。
1番低いのは10で、2番目は1でした。
というのも「1から10のあいだ」と指定したときに、半数の人は1と10は含まれていないと解釈して、最初から1と10を除外するからです。
となるとかなり確率があがって、大概7になってしまうのです。
人間は自分では独自の考え方をしているように見えますが、実はありがちな思考に流されやすいということが分かります。
間違った信念は強められる
霊魂は存在すると信じていたら、別に霊魂を証明するようなものでなくても、霊魂が存在する証明だと、どんなものでも引き寄せてしまいます。
これを主観的確証といい、霊魂を見たい期待効果が何でもそのように見えてしまいます。
誰でも暗がりに入ったら1度や2度は背筋がゾクゾクとした経験はあるでしょう。
背筋がゾクゾクしたからと言って、霊魂がいることにはなりませんが、信じる人にとってはこんなことでも信念を高められる材料になります。
また「自己成就予言」といい、信念を持った人が他の人に影響を与えることも多いのです。
根拠なく選ばれた生徒達に教師が心理的なテストの結果1年後に驚くほど成績が伸びると予測されたと伝えると、実際にその生徒達は1年後に飛躍的に成績が上がったと報告されています。
このようなことはピグマリオン効果と呼ばれ、メンタルトレーニングにも応用されています。著しい効果があるため、善用されれば問題ありませんが、洗脳・詐欺など悪用される場合もあるので注意が必要ですね。