伊東ゆうさんは万引きをチェックする保安員。いわゆる万引きGメンです。
あのカンヌ映画祭でパルムドールをとった映画「万引き家族」の制作協力を行っています。
コロナやレジ袋有料化で万引き事情は激変しているようです。
万引きは社会の縮図で令和の世の中が見えて来ます。

 

 

万引きGメンの仕事

 

万引きGメンこと保安員は「現行犯人は、何人で、も逮捕状なくしてこれを逮捕することができる」という刑事訴訟法第213条に基づいた仕事で特別な資格は必要ありません。
警備業法に規定される破産者もしくはアルコールや薬物の中毒者ではないなど、欠格事由に該当しなければ、3日間で20時間の研修を受講するだけで誰でもなれる職業です。
警備会社に所属しており、所属する警備会社の営業マンなどが開拓したクライアントの各店舗に派遣され、一日8時間勤務を目安に店内を至福で巡回します。
保安員は、万引きの防止や摘発だけでなく、それ以外にも詐欺や痴漢、置き引き、スリ、粗暴犯など、あらゆる店内の犯罪の摘発を対象にしています。
人を逮捕するのは非常に責任が重大なので、犯罪の一部始終を自分の目で確認する必要があります。

不特定多数の来店者から誰が万引きするのかを判別するにわその挙動を分析するしかありません。
保安員が基本とする着目ポイントは目つき、顔つき、カゴの中と言われています。
まずはそこから警戒対象を割り出します。
そうして気になった人の商品の取り方や歩く速度、服装、持ち物などを観察することで、来店者の買う気や違和感を見極め、通常客と万引き犯を見分けています。
万引きする者の動きは目的が見えない場合が多くて、多くの挙動不審者と見分けがつきません。
人を探す、試食狙い、トイレを借りる人などの行動と同じに見えます。
その挙動の意味が判明して正常な客を外して行くと、買い物に来たとは思えない挙動不審者だけが残り、残った者を万引き犯としてマークするのです。

 

レジ袋有料化が生んだ新型万引き

 

レジ袋が有料化になって、万引き事情にも変化が起きています。
今まで無料だったレジ袋代を払うのがいやで、レジ袋をかすめ取る、無料にしろとゴネる客が急増しています。
スーパーに売っているレジ袋を取って帰る人や、カゴを持ってくるのを忘れて、店内カゴをそのまま持って帰る人もいるそうです。
一番問題なのは、客の方がマイバッグを持ってくるのが当たり前になり、万引きした商品をマイバックに隠す人が増えているようです。

 

コロナ過が生んだ貧困万引き

 

2020年にコロナがはじめて発生したときに起きたのが、日用品の買い占めです。
物資を転売して利幅で儲けるための万引きが発生しました。
またコロナで解雇されたり、会社が倒産したりして、アパートを追い出されてホームレスになる人が増えました。
お金がないので万引きするしかないと追い詰められて万引きする人が急増しているそうです。
中でも顕著なのは居酒屋、料理店、パン屋、ラーメン店などの店主の万引き。
コロナで客がこなくなったため、少しでも材料費を浮かして、経費を落とそうという考えです。
万引きをすれば罪になって、店を続けるどころじゃないはずなのに、背に腹はかえられないのでしょうか?
ギリギリで追い詰められている飲食店店主の実態が生々しいです。

 

映画よりひどいリアル万引き家族

 

映画の中では未成年の子供が万引きの首謀者ということで、見逃される手口でしたが、映画が公開された後、その手口に万引き家族が急増して、映画がその手口を広めてしまったのかと本伊東さんは罪悪感を持っているそうです。
ベビーカーを使っての子連れ万引きがあります。
シングルマザーの貧困層で、お風呂にも何日も入っていない様子。
お店のものをくすねても、娘がわからずに棚のものを取ったことにします。
母親を逮捕すれば、警察に拘留されて、子供の面倒を見る人はいません。
しかたなく、情状酌量にしますが、根本的な救済をしないかぎり、親子の貧困は解消できず、違う店に移って万引きを続けるでしょう。

 

万引きに近い迷惑行為も頻発

 

万引きほどではありませんが、ちょっと店を困らせる姑息な技も立派な犯罪です。

「フルセルフレジスルー」
レジ打ちスタッフがいないので目が届かなく、犯行を指摘されても、レジを通したけど反映されなかったと言い張るのが多いのがセルフレジです。
言い逃れる人が多くて、処理が長引きます
なかなか普及しないのが現実のようです。

「付け替え詐欺」 高い金額と安い金額のシールを貼り替えてごまかすという手法です。
粘着力のあるシールを貼り替えるのはテクニックがいります。
ラップをした商品だと破れてしまい失敗します。
張り替えるシールは自分で用意する場合と業者から購入する場合があります。
また、フタ付きの容器は半額のシールを貼った同じフタを用意してフタを入れ替える場合もあるのだとか。
つまり出来心ではなく、完全なる確信犯。

「シール泥棒」 ペットボトルの飲料にシールを剥がすとバーコードやQRコードがついておりそれを見るとアイドルやアニメキャラの限定動画が見える仕組みです。動画見たさの未成年の学生が罪悪感なしに行います。

日本ではあからさまな凶悪犯罪は少ないのかも、知れませんが軽犯罪はむしろ増えており、
コロナ不況でますます治安が悪くなっていきそうです。