2021年の秋に放送されたドラマ「和田家の男たち」は祖父70代、父50代、息子30代と
3世代に渡るマスコミ父子のドラマでした。
比較的、同じ業種について安定した仕事人生を送れた祖父、父に比べて息子が一番の会社が倒産し、浮き沈みの激しい仕事人生を送っています。
「ライフシフト―100年時代の人生戦略」は2017年にベストセラーになり人生100年時代と言う言葉はすっかり普及しました。
100歳まで生きる時代には、今までのような生き方働き方では限界があり、常に勉強しつづけ、転身しつづけなければならないと語られていました。
しかし、実際にどう行動すればいいのか具体的なことは語られずじまいで「一体自分はどうすればいいの?」という疑問も残りました。
2021年に待望の第2弾「ライフシフト2」が刊行され、具体的な生き方の提案がされています。
ライフシフトは老若男女全てが学べる内容です。
今回はその内容をざっくりと解説します。
100年時代の生き方にはモデルはない
人生が70、80代で終わる生き方は主にライフステージが3つに別れていました。
第1ステージは生まれて成長する学びの期間。第2ステージは働いて、家庭を築いて、老後の資金を貯める期間。第3ステージは引退して亡くなるまでの休養期間になります。
3つのステージのままで、人生が100年に引き延ばされると、引退期間が延びるので老後資金を貯めなければならない第2ステージは、勉強、休養、健康、家族、趣味などの時間を犠牲にして働くことに集中しなければならず、非常につらい期間になります。
そこで、ライフシフトではステージを何個にも分けるマルチステージを提案しています。
引退の期間を引き延ばして、第3ステージのスピードを緩めて、勉強、健康、家族、趣味の時間も作ります。
働き方改革が叫ばれて久しくなり、残業手当がつかなかった分、時間も余裕に出たのではないでしょうか?
その分、次のステージに向けての勉強や健康に対する投資を行います。
「ライフシフト2」では複利の魔法を活用せよと言います。
資産運用だけでなく、スキル、健康、人間関係、など他の投資にも複利は有効です。
たとえば、現在55歳だと65歳で引退するつもりなら、今からスキルを習得してもそれほど大きい恩恵をもたらしてくれないでしょう。
しかし、75歳まで働くつもりならスキルアップは重要になってきます。
健康に対する投資も同じで、100歳まで生きるならば、60歳から健康に投資する意義はとても大きくなります。
この道一筋で一生を過ごすことはできない?
とある研究では20年後AIの発達で日本人の仕事の約半分がなくなるという見通しが公表されました。
本書で紹介されているトラック運転手もそんな職業の1つで、自動運転車に仕事をとってかわるようです。
現在、現役のトラック運転手が運転手一筋の仕事で生涯貫くのは難しそうです。
第一に定年前に仕事自体がなくなるリスクもあるし、65歳を過ぎても運転手として雇用されるのは難しいからです。
同様に芸術や伝統文化でトップの座につけば、100歳まで同じ仕事を貫けそうですが、普通の仕事となると、ステージの度に新しいスキルや知識を習得することが求められます。
トラック運転手でも、周辺の職業の中で新しいスキルの学び直しがあります。
でも、本来なら現状維持が一番簡単な道です。
新しいスキルを学んでも、実際に使えるスキルかどうかは、未来にならないと分からないので保証はありません。
「ライフシフト2」では不透明な未来を進むためには、変化を恐れない好奇心とそれに伴う行動力が必要だと語っています。
AIに奪われない仕事とは?
将来つきたい仕事を考える場合は、自動化できない、あるいは自動化されるのがもっと先になるのを予測される職業を想定ことが必要です。
もちろん正確に予測することは不可能ですが、自動化できる業務の割合が小さいほど仕事が奪われない可能性もひろがります。
そういう仕事は4つに分けられます。
1・非定型な業務が占める割合が多い
2・付加価値の高い業務に移行できる可能性がある。
3・その職業が安全性を確保する措置があり、自動化を妨げる環境がある。
4・自動化が費用対効果の面で得策でない
高度な知識、技術が必要な仕事、人間でしかできない繊細な作業ということでしょうか?
人生100年時代は健康と人間関係がもっとも重要
この他、雇われ方の形が変わり、収入が不安定になる危険性も警告しています。
金が大事なことはもちろんですが、人生が長くなったら、より重要になるのが健康と人間関係です。
金がいくらあっても健康でないと人生を楽しめないのは、人生の先輩達を見てみればあきらかです。
また、金、健康があっても人間関係が希薄であれば孤独で空虚な老後が待っています。
もちろん、目先の収入確保が一番大事ですが、スピードを落として、人生をもういちど俯瞰して見つめてみることも必要なのかもしれません。