岡山大学の宮竹貴久教授は長年生物の死んだふり戦略について研究しています。死んだふりの研究者は世界でもわずか20人というくらい珍しいのです。生き物の死んだふりは浮気をするかしないかを決める重要な要素だったのです。
宮竹貴久著「「死んだふり」で生きのびる: 生き物たちの奇妙な戦略 」をヒントに浮気・誠実の違いを考察します。

 

 

真面目は間違い? 浮気者は生物学的に正しい?

 

宮武教授は、長年の研究の結果、同じ種類の生き物でも、動くタイプと動かないタイプがあることを発見。
生き物の本能は2つで、生き残ることと子孫を残すことです。死んだふりをするタイプは生き残ることを優先し、逆に動くタイプは子孫を残すことを優先しているのです。
動くタイプは異性に出会う確率は死んだふりタイプより1.5倍に増えますが、その分捕食者に狙われて生き残るのが1/3になります。
死んだふりタイプは動かないことで捕食者の目を逃れて、ほとんどが生き残ります。その反面、動かないから異性との出会いが限りなくゼロ。生涯独身も多くなります。
まるで現代日本の縮図ですね。
異性と知り合う人は浮気する一方で、生涯異性に縁のない人もいます。
このタイプの違いは意欲、運動、快楽に関係するドーパミンに発現量に関係するらしく、元々動くタイプが標準だったところ、遺伝子が変異してドーパミンの発現量が少ないタイプが生まれたようです。現在地上に生き残っている生物は、動くタイプばかりだと絶滅していたかもしれないところを、死んだふりタイプが出現したおかげで生きのびたのかもしれません。
人間でも死んだふりタイプは本能的に動かないことで傷つかないでいられるとわかっており、安全のために動かない。
動くタイプは動いたことで異性とうまくいった成功体験がうまれ、現代社会では少々失敗したからといって生死には関わりません。次々と異性にアタックしていく。つまり生物的には浮気者の方が子孫を残す上で正しいということになります。

 

死んだふりも状況によって変化する

 

宮竹教授のさらなる研究によって、死んだふりも対峙する捕食者によってアプローチが変わることも分かってきました。捕食者によっては死んだふりをせず、動く場合もあるのです。

つまり状況によって、行動も変わるということです。結婚前は遊び人だったのに、結婚後はガラリと変わって真面目に……逆に浮気者になってしまう人もいます。
結婚前にある程度恋愛で痛い目にあっている人の方が、安全第一に考えて、死んだふり戦略をとるかもしれませんね。