いつから日本人は諦めが悪くなったのでしょうか?
本来仏教的思想が根付いている日本人は諦め上手なはず。
しかし、少年漫画では「諦めたらそこで試合終了だよ」絶対に諦めずに最後までやり抜くこと。
「グリット やり抜く力」などに代表するように、アメリカ発の自己啓発書などで、
「成功できないのは途中で諦めたから、成功しなかった人は途中で投げ出した人」
などというメッセージが繰り返し発信され、いつからか諦めることは悪いことだという風潮になってきました。自己啓発の親元であるアメリカで書かれたのが「やめる力 QUITTING」という本です。

 

 

結局やめた方がうまくいくケースも多い

 

諦めずにうまくいくことは実はレアケースで、現実にはさっさとやめて、切り替えて新しいことをした方がうまくいくケースが多いのです。
300頁もある分厚い本ですが、読まないにしても「諦めてもいいんだよ。いや、むしろ諦めた方がいいかも」というメッセージを受け取っただけで、「諦めてはいけない」の呪縛から解き放たれて、ホッとする人も多いのではないでしょうか?

パートナーの不倫や浮気に苦しみ「別れるか」それともこのまま「続けるか」に迷っている人にも有効なメッセージです。こちらがいくら再構築しようと努力したとしても、相手を100%変えることはできません。むしろ、諦めずに関係を続けることで、事態はさらに悪化していきます。
たとえば、パートナーに借金癖があればさらに借金が増えていき、DV癖があればDVがさらに増えていくことも考えられます。
いっそ、あっさり諦めて別れた方が新しい出会いが生まれる可能性だって増えます。

 

やめる力をつけるための方向転換と一時停止

 

とはいえ、ずっと「諦めるな」と刷り込まれ続けてきた私たちが、すぐ「やめる」「諦める」のには無理があります。そこで、著者ジュリア・ケラーが勧めているのが方向転換と一時停止です。
一時停止は完全にやめてしまうのではなく、様子をみるために仮にやめてしまうことです。
結婚の場合は別居が一番分かりやすいでしょう。「再構築」の場合は、「元の夫婦関係に戻らなくちゃ」とひたすら努力するのを一旦止めて冷静に状況を判断します。状況から距離を置くと、俯瞰して関係性を見ることができます。このまま続けた方がいいのか? それとも
やめた方がいいのか冷静に判断できます。

方向転換はバスケットボールのピボットに似ています。立ち位置は変えないまま、グルッと周辺を360度見回します。元通りの関係性に戻らないまでも、新しい関係性となり継続する糸口が見つかるかもしれません。あるいは、やはり別れた方がベストだという結論になる場合もあるでしょう。どちらにせよ「諦めない」「諦める」という2つの選択肢があることを覚えていてください。