出演俳優の起こした事件のために公開が無期延期になってしまった映画化されたドラマ『緊急取調室』では、毎回容疑者の嘘を刑事が追い詰めていきました。ところがエリック・バーカー『残酷すぎる人間法則』によると実際の警察が嘘を見抜く能力は50%程度と一般の人間とあまり変わらないのだとか。アメリカで2009年に行われた研究プロジェクトの結果では、実際に相手に真実を白状させるには「厳しい警官」であるより、親切にする方が効果的なことが判明しました。今では自白を誘導する行為として禁止されていますが、昔の刑事ドラマの取調室にカツ丼方式は本当に有効だったようです。

 

 

相手に真実を話してほしければ親切にしなさい

 

まず相手に白状させるためには、徹底的な下調べが必要です。もし相手が不倫をしている場合であれば、それを裏づける情報を掴んでいなければなりません。核心に迫る情報を多く持っていればいるほど、嘘の検出精度が上がっていきます。相手の嘘を見破るために欠かせないステップです。その上でけっして相手を責めずに、むしろ相手の話に好奇心を持っていることを示します。けして嘘を見破ろうとしている素振りは見せていけません。

 

相手を白状させる2つの方法

 

相手に白状させるために、自分はできるだけしゃべらずに相手に「何を」「どうやって」から始まる自由回答型の質問で、相手にどんどん話し続けさせることです。リラックスすることで油断して、新事実やこれまでとは矛盾する可能性のある新しい話が飛び出します。相手の話にけして異議を唱えてはいけません。嘘をつきなれた人間は嘘がばれるかもしれないと察するとすぐに、矛盾を突かれないように取り繕います。相手が完全にしっぽを出すまでひたすら待ちましょう。
その上で『残酷すぎる人間法則』が勧める相手を白状させるテクニックは次の2つです。

1.想定外の質問をする
正直な人には全く効力はありませんが、想定外の質問は嘘をついている人に質問すると効果的です。とくに検証可能な細かい事柄について尋ねると、嘘をついている場合、即答できないはずです。
2.証拠の戦略的活用
下調べをしていた事実に基づいて相手の矛盾点を突きます。たとえばアリバイに行っていたはずの店には実は行っていなかったなど。嘘を取り繕うとしてさらに嘘を重ねて墓穴を掘ることもあります。

嘘をつく人はまず真実を知ってそれと矛盾しないもっともらしい話を組み立てる必要があります。さらに正直に話しているように見える演技力も要求されます。嘘を組み立てにくい質問を投げかけると、その分相手に認知的負荷がかかり、嘘をつくことが難しくなっていき、最後には真実を吐露することになるのです。