身近な人の嘘は許せないし、疑ってかかると簡単に嘘が見抜けてしまいます。
一方、大きな嘘はなかなか見抜けません。
というのもスケールが大きすぎて、証明がしようのないことが多いからです。
「この宇宙はこの神様が作った」「私達が苦しいのは全部〇〇人のせい」
「これを飲めばガンが治る」「こうすれば儲かる」
小さな嘘には躍起になって目くじらを立てるのに、大きな嘘は信用しすぎて、気がつかない間に人生の大事な部分を奪われています。信じたくありませんが、人間は生来「騙されたい」という願望を持っているようです。
そんな世界に蔓延する大きな嘘のカラクリをわかりやすく解説した
マーク・カーランスキー著『大きな嘘とだまされたい人たち』からその特徴と対処法を紹介します。

 

 

大きな嘘の2大法則

 

誰だって日常で他愛のない小さな嘘をつきます。その小さな嘘を許していると、やがて、大きな嘘をつく人達につけいる隙を与えることになるのです。私的な嘘は許されますが(個人的には許されない場合もあります)、公的な嘘は許されません。日本の政治家もたくさん公的な嘘をついている気がしますが……

大きな嘘の法則は次の2つ。

・「嘘は大きければ大きいほど、大勢の人を惹きつける」

「大きい嘘」というフレーズを生み出したのはナチスドイツ総統のアドルフ・ヒトラー。ユダヤ人の虐殺を引き起こしたのは、ユダヤ人の迫害を引き起こした彼の嘘から始まりました。突拍子のない嘘を疑いもせず信じてしまうのは、「真実をそこまで歪曲できるはずがない」と思い込んでしまうからのようです。

・「嘘はくり返せばくり返すほど、信じる人が増える」

インターネットの登場で、小さな嘘でも瞬く間に浸透してしまう恐ろしさは、身近になっています。多くの独裁者が嘘を浸透させるのにターゲットにしたのは無教養な人達。ものを疑うための前提の知識がないために簡単に騙されてしまうのです。

 

大きな嘘に騙されないために

 

では、大きな嘘を見抜くにはどうしたらいいのでしょうか?
本書では「インターネットの行間を読み、書き手の真意をくみとれるようになること」と言っています。
その説に可能性があることだけを認め、あらゆる方法を使って説を検証し、全ての説が同じ結論になっていたらその説は正しいと言えます。

1.ファクトチェックのオンラインサイトを利用する
2.ファクトチェックのサイトに載っていなかったら、限りなく大元の情報に近づいて確認する
3.大元の情報を見つけたら信頼できる情報か確認する
4.他の情報もあたってみる

4.が最後に紹介されていますが、嘘かどうかを調べるには、一方的に同じ方面からの情報を得るより、複数から情報を取って確認します。
大量の情報が溢れる世の中、どの情報が正しいか精査できる目を養う必要があるようです。