日本の国会は5月17日、離婚後も父母双方が親権を持つ「共同親権」を可能とする改正案が可決され、2026年から施行される予定です。共同親権になると、離婚後の子供の生活はどうなるのか? 解説します。

単独親権から共同親権へ 離婚後の生活はどう変わるのか?浮気をされ子供まで奪われるの?

 

単独親権の場合はほぼ親権は母親へ

 

単独親権の日本では、ほとんどは母親が親権を持つことになります。
たとえ母親の方が、離婚原因が不倫など、母親に過失があったとしても、仕事が手放せない父親に対して、母親の方が子供の近くにいて世話をできるという理由からです。
母親が不倫の末に家を出て行き、父親の留守中に子供を連れ去り浮気相手と上手くやっていた場合でも、結果的に母親が親権を持つ場合が多いです。

親権者を選ぶ際に、どちらが不倫したしないは無関係です。
親権者は未成年の子の利益のためにこの監護及び教育をする権利を有し、義務を負うことになります(民法820条)。親権の具体的な内容として、子の監護権・養育権(同条)・子の居所を指定できる権利(同法821条)・必要な範囲での懲戒権(民法822条)・子の職業許可権(同法823条2項)があります。また、親権者は子の財産を自分の利益のために利用することを許されません。

以上のような比較的広範な子に対する権利・義務を委ねるには、離婚時点で子の教育にどのように関わったか、そしてどちらが積極的に養育をしたかという観点から親権者が決定される傾向にあります。日本の現状では依然として母親が育児をするという役割を与えられることが多いので、親権争いは母親が有利になると考えられてきたからでした。

福原愛さんが台湾で長男を連れ去ったことで、元夫から長男の引き渡しを求め訴えられました。単独親権が基本の日本の場合だと、理由はどうあれ長男とずっと生活していた福原さんの方に親権がわたる場合が多く、福原さんも自分に親権が移ることを狙って連れ去りを行ったようですが、共同親権である台湾ではその方法も通用しませんでした。

日本でも共同親権になった場合、連れ去って強引に子供の親権を得ることはできなくなるので、連れ去りによって親権を奪われた男性にとっては、子供と会える機会が増える、または子供と一緒に生活できる機会が増え、離婚しても我が子と離れ離れになることはなくなりそうです。

 

一方、DVやモラハラの問題も残る

 

一方、DVなどで夫からの暴力や一方的支配から逃れるために、子供と一緒に逃亡している場合は話が違ってきます。夫に自分達の居場所を特定されて、捕まる危険もあります。

その半面、離婚したい妻によっては、夫からのDVを偽って、子供と居場所を隠す場合もあります。DVのため保護を要請された団体は証拠のあるなしに関係なく、逃げこんで来た人を匿う義務があります。

共同親権にはメリットもあればデメリットもあり、もし共同親権が施行されることになっても、新たな親権をめぐるトラブルの元になるリスクもあり、喜んでばかりはいられないようです。