近年、大学生や20代前半の若者による家庭からの家出が増えています。特に、親と同居しているケースでは、親からすれば「まだ子ども」のつもりでも、本人にとっては立派な「大人」のつもり。
この親子の認識のズレが、家出の背景に潜んでいることが少なくありません。
過保護と本人の息苦しさ
「夜になると毎日、駅まで車で迎えに行く」——こうした親御さんの姿は決して珍しくありません。
愛情ゆえの行動ですが、本人からすれば「干渉されている」「信用されていない」と感じてしまうこともあります。
大学に進学しても、「本当は行きたくなかった」「親がうるさいから行っているだけ」という若者も少なくありません。
その結果、大学へ行くふりをして実際には行っていない、という状況が生まれることも。
単位を落としてしまったことを言い出せず、プレッシャーから最終的に家出という形で逃げてしまう。これは、実際の調査でもよく見られるパターンです。
借金問題も同様の流れに
この構図は、借金を抱えてしまった若者にも当てはまります。
「親に迷惑をかけたくない」「怒られるのが怖い」という気持ちから、問題をひとりで抱え込み、行き場を失って家を出てしまうのです。
親子のコミュニケーションの難しさ
家出人調査の現場では、親子のすれ違いが原因となっているケースが非常に多く見られます。
親は「心配しているだけ」と言い、子どもは「理解してくれない」と感じている。
この溝を埋めるには、感情だけで向き合うのではなく、ひとりの大人として子どもを客観的に見る視点が必要です。
見守ることと、干渉することの違いを意識しながら、コミュニケーションを見直していくことが大切かもしれません。