きなこす著『マンガでわかる離婚までの100日のプリン』は、ポップな絵柄でありながら、リアルな夫婦問題を赤裸々に描いた話題作です。今回の第3回目では、主人公プリ子さんが夫・プリ彦さんのモラハラ・DV・不倫という三重苦に直面し、「離婚するのか、それとも再構築を選ぶのか」という究極の選択に迫られます。監修の伊藤有理子弁護士が示す、離婚の判断ポイントを整理してご紹介します。

 

『離婚プリン』が教えてくれる離婚する?しないの判断ポイント

 

夫に頼らず生きていけるかを自問する

 

 

離婚は結婚よりも大きなエネルギーを必要とすると言われます。「もう離婚しかない」と口では言いながら、心の奥では夫への依存から抜け出せずにいる人も少なくありません。一方で、勢いで離婚してしまい、後から「もっと考えればよかった」と後悔するケースもあります。
大切なのは現実的で信頼できる助言者に相談することです。十分な知識のない第三者の偏見や感情的なアドバイスに流されると、判断を誤ってしまう危険があります。

 

弁護士費用の目安を知っておく

 

 

離婚には法律的な知識が欠かせません。そのため、弁護士への依頼を検討する方も多いですが、気になるのが費用です。平均的には以下のような目安があります。

  • 相談料:30分 5,500円程度
  • 着手金:33万円~55万円(税込)※協議離婚・調停離婚・訴訟離婚で異なる
  • 成功報酬:獲得金額の10~20%

弁護士費用は事務所によって差があるため、事前に見積もりを取り、費用対効果を考えたうえで依頼することが大切です。

 

離婚成立まで3年はかかると覚悟を持つ

 

『離婚プリン』の中では100日で離婚が成立しましたが、これは現実には稀なケースです。実際の離婚調停や訴訟は1~3年かかることも珍しくありません。そのため、少なくとも半年から1年は夫の経済的援助がなくても生活できる準備を整えておく必要があります。

 

条件に固執しすぎると長期化の原因に

 

「どうせ離婚するなら条件はできるだけ有利に」と考えるのは当然ですが、相場を無視して高額な慰謝料や養育費を要求すると、かえって交渉が長引きます。
離婚条件にはある程度の「相場」が存在し、それを理解したうえで交渉を進めることが重要です。

 

離婚にまつわる相場感

 

では実際の相場はどのくらいなのでしょうか。弁護士が示す代表的な目安を整理します。

 

婚姻費用・養育費

 

裁判所が定めた算定表をもとに、夫婦の年収を基準として決まります。専業主婦であっても、特別な事情がなければ「年収100~120万円程度の稼働能力がある」とみなされるのが一般的です。

 

財産分与

 

別居開始時点の夫婦の財産を合算し、原則として半分ずつ分け合うのが基本です。預貯金や不動産、保険、退職金なども対象になります。

 

慰謝料

 

不倫が原因の場合でも、慰謝料の相場は100万~150万円程度。高額でも200万円前後が一般的です。「裏切られたのに安すぎる!」と感じる方も多いですが、裁判実務上はこの範囲で落ち着くことがほとんどです。

 

面会交流

 

離婚後も子どもと別居する親が会える機会です。月1回程度の面会が標準とされます。

 

「目的は離婚」だと割り切る勇気

 

不倫をされた怒りや屈辱感から「慰謝料をもっと取ってやる!」と感情的になるのは自然なことです。しかし、最終的な目的は「離婚を成立させて新しい生活を始めること」であるはず。相場より少しでも高ければ「ラッキー」と考え、交渉をスムーズに進める方が精神的にも経済的にも得策です。

 

まとめ

 

『離婚プリン』の物語は、フィクションでありながら現実の夫婦が直面する悩みをリアルに映し出しています。
「夫に頼らず生きられるか?」「弁護士費用や生活資金は用意できるか?」「条件交渉でこじらせないか?」――これらを冷静に考え、信頼できる専門家の意見を取り入れることが、後悔のない離婚判断につながります。
離婚はゴールではなく、新しい人生のスタートです。焦らず、しかし確実に準備を進めていきましょう。

トラスト探偵事務所