「浮気調査=妻や夫が依頼するもの」というイメージは根強いですが、実務では“子ども”からの相談も確実に増えています。しかも目的は単に「浮気してるか白黒つけたい」だけではありません。背景には、家族の力関係、介護、金銭管理、相続など、親世代ならではの事情が絡みます。

1. いちばん多いのは「親の代わりに証拠を取りたい」
相談でよくあるのがこのパターンです。
母(または父)が薄々気づいているのに、ショックで動けない/話し合う気力がない/相手に強く出られない。あるいは、長年のモラハラ・DV的な関係で「証拠を取る」という行動に踏み出せない。
子どもとしては、家庭が崩れていくのを見ているだけがつらく、現実を確定させて、次の一手(修復か、別居か、法的手続きか)を決めたいわけです。
2. 「話し合いの材料がないと、親が丸め込まれる」
親の浮気問題は、感情だけでぶつかると泥沼になりがちです。
証拠がなければ、浮気している側が「被害妄想だ」「証拠は?」「勝手に疑うな」と論点をすり替え、話し合いが成立しません。
子どもが動くケースでは、親を守るというより“交渉の土台を作る”意識が強いのが特徴です。感情を抑えるためにも、時系列で整理された客観資料(報告書)が効いてきます。
3. 「介護・同居・家業」が絡むと、離婚できない問題になる
親世代の浮気は、若い夫婦よりも利害関係が複雑です。たとえば、
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介護が必要で、別居や離婚が現実的に難しい
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同居で、家庭内の空気が最悪なのに逃げ場がない
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家業(自営業・会社)を共有していて、揉めると生活が壊れる
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世間体を気にして表立って動けない
こうなると「離婚するかどうか」以前に、まず実態を掴み、家族として守るべきラインを決める必要が出ます。
4. 子どもが依頼する際の注意点(ここを間違えると地雷)
ここは大事なので冷静に。正しい目的でも、やり方を誤ると逆効果です。
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未成年の子ども単独での契約は原則難しい(保護者の関与が必要)
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“親になりすまして依頼”などはトラブルの元
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自宅や職場への侵入、盗聴、スマホの不正閲覧などは絶対にNG
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目的は「家族を守るため」でも、証拠は適法・適切に集める必要がある
探偵側も、調査の目的と範囲、契約者の立場を整理しないと、のちの紛争で巻き込まれます。
5. 調査で何ができるのか(子ども案件の現実解)
一般的には、行動調査で「いつ・どこで・誰と・何をしていたか」を押さえ、写真と時系列でまとめます。
子どもからの相談でも、最終的に“親(配偶者側)”がどう動くかが焦点なので、証拠の使い道(話し合い/別居/慰謝料請求の準備)を想定して、過不足ない設計にするのがコツです。

