長引くコロナ禍により最初は影響なかった業界や立場の人もだんだんと余波が広がっていき、いまだかつてない苦境におちいり、人知れず不安を抱えている人も多いのではないでしょうか?
生きているかぎり悩みはつきませんが、そんな中でも俗世を離れたお坊さんは何事にも動じないように見えます。
できればお坊さんの何分の1でもいいから強い心になりたい。
禅僧の枡野俊明さんは一般の人でも禅僧のような境地になれると説いています。
そのポイントは図太い心。
枡野俊明著「傷つきやすい人の図太くなれる禅思考」から強くしなやかな心になれる方法を学びます。
人と比べるのをやめて今、ここに集中する
枡野和尚曰く「人の悩みのほとんどは、自分の置かれた状況と他のものと比べるから起こる」
たとえば、「コロナのせいで収入が減った」という悩みもコロナ以前の状況と比べているから起こります。となりの住人よりも給料が少ない」というのも他人の年収と比べるから。
過去未来、他人の状況を見比べるのではなくて、今、ここ、自分に集中すれば悩みは消えるというのです。
「いやいや、それは俗世間と離れたお坊さんだから言えるのでしょ。どうしたって他人が気になってしまいます」
と思ってしまうのも当然です。人間だもの。
他と比べることでさらに悪いのは挑戦しなくなることです。
挑戦すれば当然、失敗することもあります。
失敗することのリスクはもちろん資金や時間を投資したのに、プラスにならずにマイナスになってしまうことです。
しかし、それ以上に「失敗したら他人から笑われるかもしれない」という他人の視線が気になります。
挑戦しなければ失敗することもない。失敗しなければ笑われることもない。
こうして挑戦しなくなれば、現状はますます悪くなって、結果的に悩みは増大するのですが……
最近テレビのCMで言われる「挑戦しないリスク」が増えることになります。
そこで短所や足りないところに注目するのではなくて、長所に注目しましょうと言います。
同じ状況でも見方次第では、よろこびにもなるし、苦しみにもなるということですね。
世の中はうまくいかなくて当たり前、ダメでもともとのつもりで挑戦する。
図太い人の気持ちの切り替え法
この本では起こった出来事に対する心の切り替え法をたくさん教えてくれます。
・突発的に怒りが湧いたときに沈める方法
まず、予想外の出来事で怒りが湧いたときには、深呼吸して呼吸を整えてから「ありがとさん」と3回唱えるのだそうです。
これは桝野和尚の師匠が教えてくれた方法で、アンガーマネージメントの怒りがわき上がったら7秒待つに似ていますね。
深呼吸して「ありがとさん」を3回なので、やっているうちに心が静まってくれそうです。
・怒りを紙に書き出す
それでも頭の中に怒りが残る場合は、怒りが湧き出た状況を紙に書いて吐き出すのが有効です。
克明に怒りが生まれた状況や理由を書いていけば、吐き出し尽くした頃にはいつの間にかスッキリしています。
・最初から物事に関して過度に期待しない
そもそも起きた出来事に対して一喜一憂するのは、そのものに対して過剰な期待を抱いているから。
ある程度努力も関わるでしょうが、結果や評判のよしあしは自分ではどうすることもできません。
期待と結果のギャップが激しすぎると、怒りや悲しみにつながるので、人生こんなもんだといい意味のあきらめがあると、感情の波に振り回されることが少なくなります。
・気持ちが落ち着く椅子座禅
「座禅」と聞くと細かな作法があってなかなかとっつきにくい印象があります。
でも枡野和尚のとなえる椅子座禅は細かい作法を省略した簡単なものです。
椅子に座ったままなので、あぐらも必要ありません。
・椅子に浅く腰掛けて、背筋を真っ直ぐに。
・目は閉じきらずに薄めを開ける半眼という状態。
・丹田という臍下約7㎝下の部分を意識して、深呼吸
・呼吸を意識しながら、湧きあがる雑念はそのままにして受け流す
・これをできれば10分間、時間がないときは5分間が目安です
これなら簡単なので続けられそうです。
自分を着飾らず裸のままでいると心は傷つかない
小さな事でいちいち傷つくのは、結局ちっぽけなプライドにしがみついて手放せないから。
「ええかっこしい」の自分がいて、そのいい格好が崩れるのがつらいのです。
かっこつけるのをやめて、ありのままの自分でいれば傷つくこともありません。
お坊さんが図太く見えるのは心の余計な装飾がないからでしょう。
余計な枝葉や花があるから風が吹くとグラグラ揺れてしまう。
シンプルに幹と根っこだけになると、軸がしっかりして揺らぐことがなくなるのです。
軸を作るためには、まず自分の軸とは何か?
自分の好きなこと、得意なこと、強みを見つめそれを伸ばすこと。
これは自分にしかできない作業です。
なかなか訓練を積み重ねた禅僧のような精神力になるのは大変です。
できる範囲で真似することで、図太くはなれないにしても、心がたくましくなるのが期待できそうですね。