「負けるが花」とはパートナーシップと性のカウンセラーの小野美世さんの著書です。
最近では「論破」で相手を言い負かす、交渉術で負けないにせよできるだけこちらの有利になるように話合いを進めるのが当たり前になっています。
でも、夫婦や家族など親しい間柄で相手より有利に立とうとしても、うまくいかずかえって関係がこじれてしまう危険もあります。
今どきの妻には、
・夫がおかしいと思うと指摘せずにはいられない
・何を言っても無駄だから最初から頼らない
・夫を最初から下に見て見下している
人も多いはずです。
数々の夫婦の悩みの相談にのった小野さんの知見から見ると、これでは夫婦関係は修復できないのです。
夫との戦いに終止符をうつにはまず自分から負けることが大事だと説きます。
これが「負けるが花」です。
最初はうまくいかないかもしれない。
恥ずかしい、傷つくし、「なんでこんなことしないといけないの?」と思うこともあるかもしれません。
パートナーシップには残酷なルールがあり、「気がついた方が先にやる」のが鉄則です。
となると気がつかない夫は一生やらないかもしれません。
これだと今までと同じ「勝ち負け」のものさしになります。
「相手と仲良くしたい気持ちに素直になる」なら負けるが花を身につけるしかありません。

 

 

なぜ夫に負けたくないのか?

 

「夫に負けたくない」という気持ちを持つようになったのは、育てられた環境が原因です。
・ありのままの自分を親に馬鹿にされた
・兄弟と比較された
ことで「このままの自分じゃダメなのだ」と自己否定の気持ちになり、負けたくないという気持ちが芽生えたのです。
つまり、戦っているのは夫ではなくて親です。
親のものさしがそのままトレースされて自分のものさしになり勝ち負けで人を判断するようになったのです。
本当は親にありのままの自分を愛してほしかった。
つまり夫を否定することは過去のできなかった自分を否定しているのと同じだというのです。
自分の中から追い出されたダメな自分に、「ときにはダメな自分でもいいよ」と許してあげましょう。
ポイントはけして「負けるが勝ち」ではないことです。
「負けるが勝ち」だと、いっときは負けておいて最終的には勝ちを狙う魂胆があるので、結局は勝ちたいのです。
自分の中の柔らかい部分、弱い部分、切り捨ててきた自分を大事にするのが負けるが花なのです。

 

負けるが花の実践ポイント

 

小野さんはある本の一節を読んで、完全に夫の言うことは全て「あなたがそう言うのなら」と受けいれる決意をしました。
その事がが「負けるが花」を掴むきっかけになったそうです。
負けるが花を実践する上で大切なことは、
・相手をコントロールしない。
・相手への期待を止める。
・自分の望みをシンプルに伝える。
もし相手にしてもらいたいことがあれば、頭ごなしにきつく訴えるのではなく。分かりやすく相手に伝える。
・武器を持たずに両手をさしだす
相手に「したい」「したくない」と意思表示をするときも、相手に攻撃するのではなくて、無防備の状態で意思を表示します。
無抵抗のガンジーのようなやり方ですね。

 

負けるが花に並行して大事な要素

 

小野さんは負けるが花を実践する上で並行して大事なのが、「自分の機嫌を自分で取る」「自分の機嫌がどうしたら良くなるかを工夫する」セルフケアが大事だと言います。
たしかにセルフケアができていないと負ける一方ではストレスが貯まって、いつかは爆発してしまいそうです。
主なセルフケアは
・睡眠をとる。
・自分の気持ちを吐き出せる場所を持つ
友人や親に話す。ノートに自分の気持ちを書いて整理したり、日記アプリに思いを吐き出したりするのもいいそうです。
・自分がいい気分になれることをする
自分が好きなことをやって、気分をすっきりさせる。覚えておいて、まめにセルフケアをしましょう。
・捨てる、やめる、減らす
しなければならないことが多くなったら捨てる。
やらなければならない習慣が多くなったらやめる。
要らないものを捨てたらすっきりするそうです。

 

子育て家事、夫の仕事も負けるが花で

 

「夫や家事や子育てをしてくれない」と不満を言いながら、あれこれやり方が違うと口を出していませんか。
夫は手伝う気があるのに、あれこれ口を出していたら、やりたい気持ちがだんだん失せていきます。
「やり方は相手に任せる」のが「負けるが花」流です。
相手のやり方に任せる度量の広さが必要です。
また、夫が仕事に疲れて帰ってきて、自分なりのエネルギー回復をしているのに、「スマホやゲームはダメ」「部屋に1人でこもるな」だと邪魔をしないこと。
人にはそれぞれの元気の回復法があるのです。
また、夫の仕事のやり方には口を出さないのも大事です。

 

セックスレスと負けるが花

 

夫婦感の難しい問題の一つがセックスレスですが。
セックスレスの問題を話し合うときも負けるが花が大事だと言います。
もちろん問題だと気がついた方が先に行動するので、あなたが先に切り出さなければいけません。
それでも傷つくのが怖くて言い出せないと思うもの。
それでもここは一番失敗してまず傷つくのが一番だそうです。
傷つかずにうまいことやろうと思っていると、自分の期待した反応が相手から出て来なかった時失望し、腹が立って心にもないことを口走ります。
ここでもまた負けることを恐れてはいけないのです。
小野さんはセックスレスの問題の着地点は拒否している方が
「自分はしたくないけど、相手がそれを望むなら叶えてあげたい」
と思ってくれることだと言います。
ここもまた「負けるが花」で相手の望みが叶って喜んだら自分もうれしいという気持ちなのでしょう。
「負けるが花」は、そう心がけていたら、人生のあらゆる事がうまくいく魔法の言葉です。