誰だってネガティブな感情に支配されることがあります。一度ネガティブな気持ちになったらなかなか、そこから脱出できない人も多いのではないでしょうか?
日本大学教授中村英代さんが執筆した「嫌な気持ちになったら、どうする」では、「ネガティブな感情は本来の自分ではなく、一時的に憑依したものに過ぎない」と主張します。今回は本書の中でも「神様ポジション」の危険性を紹介します。
「神様ポジション」とは? 嫌だなと思っても逆らえない理由
「神様ポジション」とは、一個人の経験と知識では分かりようがないのに上から目線で、「否定と決めつけ」を行うことです。サッカー、野球、スポーツ観戦では自分はできないクセに、選手や監督のミスを無責任に批判します。
子供にとって、一番多く神様ポジション略して神ポジを取ってくるのが親です。
「あなたはこんな性質なんだからこうしなさい」
「あんたには絶対無理」
親から言われた「決めつけと否定」は、言われたら本当に嫌だなと思いながら、気がつくと従っている場合が多いのではないでしょうか?
「あなたのためを思って言ってるんだから」
と言われて、気がついたら、自分のやりたいことができなかったり、行動の幅が狭められていることになります。
結婚して、両親の影響が多少薄まっても、今度は配偶者が神ポジであなたのことを否定しきたら、また同じように窮屈な思いをすることになります。
それが離婚の原因となる場合も多々あります。
中村さんは「ポジティブにせよ、ネガティブにせよ感情は感染する」と言います。他者から受けた決めつけと否定が、乗り移って、今度は自分のものとなり、自分自身に神ポジを取るようになるというのです。
気がつくと自分の心を痛めつけている神様ポジション
他人から神ポジで責められる経験をしていたら、「自分だけは他人に同じことはしたくない」と思う人が多いかもしれません。でも、あなたは知らず知らずに神ポジで決めつけと否定を繰り返している対象がいます。それは他ならぬあなた自身です。
他人を責めない人でも、自分自身だけは
「どうして自分はダメなんだろう」
「どうせ自分にはできない」
などと、神ポジになって自己否定を繰り返しています。
この「自分」という言葉を「あなた」に置き換えてみてください。
「どうしてあなたはダメなんだろう」
「どうせあなたにはできない」
これを面と向かって、他人に言ったら、立派なハラスメントですね。
他者に置き換えると、どんな自分自身を酷い言葉で痛めつけているかがよく分かります。
自分自身を責めている自分がいたら、「今、神ポジになっている」と自覚して、責める気持ちをやりすごすことが大事です。