『マンガでわかる離婚までの100日のプリン』は、キャラクターがプリンやババロアといったスイーツで描かれたユルい絵柄が特徴です。しかし見た目の可愛らしさとは裏腹に、その内容は著者・きなこすさんの実体験をもとにしたシビアなストーリー。
DVや不倫をする夫と離婚するまでのリアルな過程が描かれ、さらに離婚専門の弁護士によるアドバイスまで添えられている実用的な作品です。
今回はその中から、夫のモラハラ・DVに直面したときの考え方や対処法を紹介します。
プリ子さんが夫プリ彦さんと離婚するまで ― 100日から80日まで
主人公・甘井プリ子さんと夫プリ彦さんの出会いは病院。看護師だったプリ子さんが入院していたプリ彦さんの世話をしたことがきっかけでした。
甲斐甲斐しく世話をしてくれるプリ子さんに心を動かされたプリ彦さんは熱烈にアプローチ。やがてプロポーズを受け入れたプリ子さんは「幸せな家庭を築ける」と期待して結婚しました。
しかし、結婚後のプリ彦さんは態度が急変。妊娠を望んだプリ子さんが3か月後に懐妊しても喜びを示さず、つわりで苦しんでいるときさえ自分の夕食の心配ばかり。
長女・プリ美ちゃんが誕生しても夫の自分中心の言動は変わらず、やがてモラハラ的な態度が日常化していきました。
家事や育児に追われるプリ子さんが「せめて食器を片づけてほしい」と頼んだだけで逆ギレし、物や壁を蹴るなどDVの兆候を見せ始めるプリ彦さん。
一緒に暮らしていても常に機嫌が悪く、プリ子さんは精神的に疲弊していきます。
相手の人格に疑念が湧いたら「最悪の未来」を想定する
モラハラ夫に直面した妻が、その場を荒立てないように気を遣い続けるのは得策ではありません。放置すれば、夫の行動はエスカレートし、精神的な支配が強まっていくからです。
裁判上も、モラハラは離婚を認める十分な理由とされます。 「子どもが生まれたら」「仕事が落ち着いたら変わってくれる」―そんな期待は無意味です。モラハラ・DV気質は相手の本質的な性格に根ざしているからです。
そこで必要なのは、「相手が変わる」ことを期待するのではなく、自分がどう動くかを考えることです。具体的には以下の3点を意識しておく必要があります。
1.直ちに別居できる準備をしているか?
別居するとなれば、数か月間は夫の生活費なしで暮らせる準備が欠かせません。収入源の確保や、資格取得など経済的自立に向けた行動が早い段階で必要です。
2.夫のお金の流れを把握しているか?
モラハラ夫は収入や資産を隠すケースが多くあります。離婚の際には財産分与の対象となるため、同居中に夫の財産状況をある程度つかんでおくことが重要です。
3.離婚を裏づける証拠を集めているか?
モラハラ夫は離婚に強く抵抗する傾向があり、訴訟になる可能性もあります。その場合、裁判所は「婚姻を継続しがたい重大な事由」があるかを判断します。
そのためには、客観的にモラハラを示す証拠――音声、日記、メール、診断書など―を確保しておくことが必須です。
まとめ
モラハラ・DV夫との関係は、時間が経っても自然に改善することはほぼありません。
大切なのは「相手に期待することをやめて、自分がどう生きるか」を考えること。
別居の準備、経済的自立の計画、そして証拠の収集――これらを冷静に進めることが、離婚という出口にたどり着くための現実的な一歩となります。