認知症(いわゆる痴呆)で徘徊クセがある方の行方調査は、一般的な「家出」「失踪」と比べて難易度が上がりやすい分野です。理由はシンプルで、本人の行動に“目的”や“計画”がないことが少なくないからです。行き先が決まっていない、途中で気が変わる、帰るつもりでも道が分からなくなる。こうなると、定番の捜索手順が効きにくくなります。

それでも、現実の人間は生活している限り、どこかで“痕跡”を残します。鍵になるのは「お金」「身分確認」「防犯」の3つです。

痴呆(認知症)の徘徊・行方不明はなぜ難しい?探偵の行方調査で「足どり」を手繰る考え方

生活痕跡は必ずどこかに残る

通常の行方調査では、次のような“行動の線”を拾っていきます。

  • 現金の支払い(コンビニ、飲食店、自販機など)

  • カード決済・交通系ICの利用

  • 防犯カメラに映る移動

  • 施設利用時の本人確認(マンガ喫茶、簡易宿泊、ネットカフェ等)

マンガ喫茶に入るにも身分証の提示が求められるケースが多く、また利用履歴が残りやすい場所です。こうした「本人確認が絡む場所」は、足どりの“点”を作れる可能性があります。

ただし、徘徊の場合は「そもそもお金を持っていない」「施設を使わない」「歩き続ける」「電車に乗らない」ということもあります。だからこそ、行方調査は“点”を拾うだけでなく、“面”で考える必要があります。

徘徊は「範囲の設計」が勝負

徘徊で多いのは、本人にとって意味のある場所へ向かうパターンです。

  • 昔住んでいた家、働いていた職場

  • よく行っていたスーパーや病院

  • いつも散歩していた道

  • 若い頃の記憶に結びついた駅や公園

本人の現在の住所よりも、“過去の生活圏”のほうが重要になることがよくあります。ご家族が「最近は行ってないはず」と思っていても、本人の頭の中では“今もそこが日常”になっている、というズレが起こるためです。

探偵の調査としては、こうした候補地を闇雲に探すのではなく、優先順位を付けて「この順で当たる」という設計をします。ここが難易度の高い案件ほど大事になります。

探偵ができること/できないこと

誤解が出やすい点ですが、探偵が魔法みたいに一瞬で見つけられるわけではありません。できるのは、合法の範囲で情報を集め、足どりを組み立て、発見確率の高い“線”を作ることです。

  • 関係先の聞き込み(適法範囲で)

  • 目撃情報・移動ルートの整理

  • 立ち寄り先の可能性を絞る

  • 防犯上重要なポイントの張り込み・確認

逆に、捜査権がない以上、個人情報を強制的に開示させることはできません。だからこそ、最初の情報整理(いつ・どこで・何を持って出たか)が調査の精度を左右します。

早期相談が結果を分ける

徘徊は時間が経つほど、範囲が広がり、目撃情報も薄れます。早期に「行動パターンの仮説」を立てて、動けるうちに当たる。これが最短ルートになりやすいです。

ご家族だけで抱え込んで疲弊する前に、専門家へ整理を投げるのは合理的な選択です。行方不明は“気合い”ではなく、“設計”で勝負する案件だからです。

トラスト探偵事務所