探偵業務は嫌が応でも依頼主の家庭の内情と関わるケースも多いものです。

家庭内のゴタゴタで一番の犠牲になるのは、夫でも妻でもなく、子供です。

友田友美著「子供の脳を傷つける親たち」を参考に、子供と親の関わり方について考察します。

 

 

ストレスで子供の脳は縮む

 

子供達の脳は過度なストレスがかかると物理的に傷つきます。

発達過程の脳は外部からの影響を受けやすい非常な大事な時期です。

胎児期 、乳幼児期 、思春期こうした人生の初期に親からの適切な愛情を受けることが脳の健全な発達には不可欠です。

この時期に極度のストレスを感じると、子供の繊細な脳は、苦しみに適応するためにみずから変形するというのです。

過酷な環境から生き延びるための防衛手段なのですが、あまりにも悲しく驚くべき事実ですね。

その結果、脳の機能にも悪影響があり、正常に発達が行われず、その影響は生涯まで続きます。

・キレやすくなって乱暴になり、非行に走る。
・喜びや達成感を味わえないないので、強い刺激を求め、アルコール薬物ギャンブルゲームなどの依存性のあるものに溺れる。
・愛され褒められた経験が少ないと自己否定しがちになり、うつになりやすく、自傷行為を繰り返す。

こういった症状は子供の頃から現れる場合もあるし、
時間が経過した後、成人して仕事を始めた頃、家庭を持った頃、中年期など後になって現れる場合もあります。

 

どんな親でも無意識にマルトリートメントしている

 

虐待と言うと、死に至るまで折檻したり、食べ物を食べさせなかったり、ニュースに取り上げるような過激な行為で、うちの家庭には無関係と思われる人も多いでしょう。

しかし、他人事ではないのです。
子供の脳は普段の何気ない行為の中の不適切な関わりでも傷ついているのです。

虐待という言葉は、強烈なので友田さんはそれを「マルトリートメント」と名付けています。

マルトリートメントの種類

 

ここではマルトリートメントの種類を紹介します。
「え、こんなちょっとしたことで子供の脳は萎縮しちゃうの?」
とびっくりするくらい些細なことでも傷ついてしまうようです。
これらのどれもやったことがないと言う親はいなんじゃないでしょうか?

体罰の影響は心だけじゃない

 

殺したり病院送りにしたりするのではなく、お尻を叩いたり、頭をペチンとしたりするぐらいなら誰でも覚えがあるはずです。
しかし、体罰の影響は身体ではなく心の方にしっかり残るのだそうです。
自分の体力では絶対に勝てない大人に無抵抗に暴力を振るわれると、

・殺されるかも知れない恐怖心
・どうやっても勝てない無力感
・完全なる服従を理不尽に強いられた屈辱感

にさいなまれ、心に深い傷を残し、脳の発達を妨げるのです。

 

ポルノや裸の写真を見せても性的虐待になる

 

性的な虐待と言うとレイプのような大げさなことのように思いますが、ポルノや裸の写真などを見せても、子供は刺激を受けるようです。
昔のテレビは今のようにテレビや雑誌にも規制がなかったので、週刊誌にはヌード写真が掲載され、バンバンと子供の起きている時間帯でも女性の裸やポルノ的場面が流れていました。
それだけでも子供の脳にとっては有害なんですね。

ちょっと目を離しただけでもネグレクトになる

 

これもパチンコをするために炎天下の車内に閉じ込めて子供を衰弱死させた……とか言う大げさな話じゃなく、ちょっと小用のために外に出て、子供に留守番させることはあるでしょう。
それだけでなく、視力が落ちているのにメガネを買わない。
病気になっても病院に連れて行かない。
など、こんな小さなことでも、マルトリートメントになるようです。

子供とのスキンシップ・コミュニケーションを取ろうとしなくても

 

マルトリートメントの中で一番問題と思われるのが、この項目です。
子供の話を聞かずに、スマホばかり覗いている。
親がゲームに夢中になって、子供の言うことはおざなり。
子供がコミュニケーションを取りたがっているのに、親の方が画面ばかりを見て顔を見ないということは、現代の家庭では頻繁に起きているんじゃないでしょうか?
子育て中の親はとにかく忙しい。
年代的にも仕事が忙しい世代だし、子育てもしなくちゃいけない。
それでも子供に大事なのはコミュニケーションとスキンシップです。
大事な時期なので幼児期のコミュニケーションとスキンシップの時間は確保したいものです。

まとめ

 

今回は子供の脳を萎縮させるマルトリートメントについてお伝えしました。
子育てが終わった方にとっては「やっていた。もう取り返しがつかない」と思われた方もいるかもしれません。
子育てがまだ、今真っ最中だという方は、子供さんとの向き合い方をもう一度見直して、大事な時間を過ごしてください。