リサ・フェルドマン・バレッド博士は著書「情動はこうして作られる」で有名な脳科学の権威です。
バレッド博士の新理論は今までの常識をくつがえす目からウロコのものばかりです。
「バレッド博士の脳科学教室71/2章」は最新理論をグッと分かりやすく教えてくれます。
その中から生活に役に立つ情報をお伝えします。
脳は考えるために!ない新常識!
「脳味噌を使ってよく考えろ!」と言われますが、元々脳は考えるために作られたものじゃないのだとか!
よく考えてみると、人間でもなく、哺乳類、は虫類の時代から脳はあったので、考えるために作られたものではないのはあきらかですね。
バレッド博士の言葉では「身体予算管理」のために作られた器官だそうです。
その昔、ナメクジウオに代表されるような生物がいるときは、地球上の生き物もシンプルで、それほど身体管理が必要ではありませんでした。
ところが、カンブリア紀に入って、獲物を獲得するために進化していきます。
他の生物を感知して意図的に食べる能力を身につける必要がありました。
生き物がそのように進化したものだから、地球上はたちまち危険なサバイバル地帯にかわります。
まさに弱肉強食の世界ですね。
その中で予測して、危険に備える、余裕があったら力を備蓄する機能を持つ細胞がどんどん発達して、身体予算管理=アロスタシス管理する場所が発展したのです。
言わば、脳は身体全体のコントロール室です。
常に身体の調整を行っているので、眠っているときも活動しているんですね。
脳は1種類
食欲に例えると、「食べたい」という動物脳と、「ダイエットしなくちゃ」という理性=大脳新皮質が葛藤するなどのたとえで使われます。
は虫類脳=生存脳、大脳辺縁系=情動脳、新皮質=人間脳のように時代別に脳が発達してきた仮説を「三位一体仮説」と言いポール・マクリーン医師が唱えたものです。
でも、これは間違い。
なぜならは虫類の脳にも新皮質の原型と思われる場所があるからです。
もともとからあった部位が、再構築されて人間になる段階で発展しました。
脳は外の状況によって変化する
脳は元々完成されているものではなくて、外部の状況によって、
「チューニング」葉っぱのように樹状突起を伸ばして、外部の刺激によって伸びていく。
「プルーニング」刺激の無い部分は必要がないもの刈り込んでいく。
枝葉を伸ばして成長することと、いらないものは刈り込んでいく剪定の作業を同時に行っていくそうです。
保護者が赤ちゃん時代のコミュニケーションを怠ると、必要な葉っぱのばしが行われなくなります。
自分の世話は自分でしないといけないと脳が身体予算を考え、より身体予算の負担が大きくなります。
自分の身を守ることで精一杯になって、とても勉強やスポーツどころではなくなるのだそうです。
家庭環境が悪い子供が勉強にエネルギーを注げず、成果が出にくく、悪循環に陥ります。
脳はあらゆるものを予測する
脳は身体予算を調整するために、起こる出来事にその都度反応しているのではなくて、起こる出来事を予測して先回りして動いているのだそうです。
たとえば水を飲むと喉の乾きが解消されてうるおうと感じますが、水を飲んでから喉の乾きが解消されるのはもっと時間が経ってから、脳は先回りして喉がうるおったことを予測するのです。
この先回りは間違った行動を起こしてしまう場合があります。
重要な場面が来ると、脳が先回りして緊張や萎縮するなど誤作動を起こすようになります。
しかし、逆に脳の先回りの性質を活かせば、自分が受け入れがたい考えかたをする人の考えを予測して、受け入れる努力をしておけば、合わない人と遭遇したときにいきなり拒否反応を起こすことなく対応できます。
予測できるかどうかで人生が左右されます。
脳はひそかに他人の脳と協調する
脳は外部の刺激を受けますが、無意識に他人の脳に協調します。
たとえば職場先だと同僚とうまく同調できれば、それだけ身体予算を節約できるので、生産性があがります。
しかし、人間関係がうまくいかないと、そのぶん身体予算が自分を守るために割かれてしまします。
人間関係ひとつで身体予算がプラスにもマイナスにも働くのです。
脳が社会的現実を生み出している
私たちは物理的な現実と社会的現実の2つの現実に対峙しています。
社会的現実は物理的現実から離れることはできませんが、私たちが思っている以上に生活を左右します。
オリンピックの影響でコロナが感染爆発したのは紛れもない事実ですが、直接的な因果関係を証明できません。
オリンピックとは無関係だと言い張ればそれが通ってしまいます。
社会的現実もまたプラスにもマイナスにも働きます。
私たちを苦しめる悩みのほとんどが物理的現実よりも、社会的現実の方から来ています。
社会的現実を少し遠くに押しやるだけで、悩みのほとんどが解決できるでしょう。