コロナのワクチンに異物混入していたことから、ワクチンにはICチップがはいっており、人々を監視しているのだとか…
そもそもコロナウイルス自体が生物兵器だという噂もあります。
こんなに情報があふれているからこそ、陰謀論が次々と生まれています。
他愛もないと相手にしなければいいのですが、ときには政権を左右して、社会を揺るがす大事件につながることもあります。
陰謀論に惑わされて人生を棒にふるのはもったいないです。
辻隆太朗著「世界の陰謀論を、読み解く」
から陰謀論に関する考察をお伝えします。

 

人はなぜ陰謀論にはまるのか

 

陰謀論にはまるメカニズム

 

 

1997年9月11日、アメリカは同時多発テロでニューヨークセンタービルに航空機が激突。
一瞬にしてビルは爆破され崩れ去りました。
あまりにも一瞬で消滅したたまに、事前に準備されていたとしか考えられないということで、アメリカ政府の自作自演説がまことしやかに繰り広げられることになりました。
不思議なことに、のちに出てきた映像や証拠も全部陰謀の証拠だとこじつけられてしまいました。
このように、陰謀論は
1.予想外に理不尽な事件事故が発生する。
2.人は理屈に合わないできごとをそのままにできない。
3.かならず理屈をつけて納得したい
4.何かの陰謀にかこつければ全て理屈がつく
5.陰謀が嘘であるという証明ができない
悪いことがあったときに理由付けするのに調度都合のいい存在なのです。

陰謀が真実であることを証明することができないかわりに、嘘であることも証明できません。
これは「悪魔の証明」と言われるものです。
たとえば幽霊が実在することは証明できませんが、また幽霊がいないことも証明できない理屈と同じです。
というワケで、嘘が証明できないので、永久に何か理不尽なことがあるたびに陰謀論が浮上するのです。

 

アメリカ建国時代から陰謀論はあった

 

陰謀論者の常套句に「陰謀を張り巡らした影の存在によって、今我が国は未曾有の危機に直面している」というものがあります。
トランプ大統領が就任したときの選挙戦でQアノンによって展開された陰謀論にもその言葉が使われて、トランプ大統領の当選を後押ししたと言われています。
しかし、この言葉建国直後にも言われていたのです。

モールス信号を発明したモールスの父・ジェディディア・モールスは教会指導者で「アメリカ地理学の父」と呼ばれて言います。

ジェディディアは「アメリカは現在未曾有の危機に瀕しており、それは全て秘密結社イルミナティが長い時間をかけて影で手を回してきた陰謀がまさに実行されつつある」と唱えました。
宗教者で教育者でもあるジェディディアは影響力があり、庶民なら彼の言葉を信じこんでもおかしくありません。
ジェディディアが唱えた文面はQアノンが唱えた陰謀論とほとんど文面がほとんど変わっていないのが驚きです。
しかし、ヨーロッパに存在した「イルミナティ」はゲーテやヘルダーなどの文化人も所属して実在していたものの、ジェディディアが陰謀説を唱えた頃には解散しており、実態はありませんでした。
同じようにフィクションでは世界の陰謀に関与している秘密結社と称される「フリーメーソン」ですが、実際は宗教や政治に縛られない社交の会だったようで、メンバーに統一性も共通目的もなかったようです。
しかし、あるかないか分からないような存在だったために、余計にこじつけ安かったのかもしれません。
日本で言うと「忍者」みたいなものでしょうか?
実際にいたのは事実だけど、その実態はあまりにも小さな身分だったので、その足跡はあまり残っていない。
空想だけが一人歩きして、いつしか巨大なフィクションを担うような存在に膨れ上がったようです。

 

日本にもあった陰謀論ブーム

 

東日本大震災が起きたときにも、人工的に地震兵器で起こしたものであるという怪情報が広まりました。
発明家ニコラ・テスラが発明したものでロシアやアメリカが研究開発しているというものです。
そもそもテスラは地震兵器を開発しておらず全くのデタラメです。
なんと地震兵器説は関東大震災のときにもあったようです。
陰謀説は昔からあり、ことあるごとに繰り返し再生産されて使われています。

「ユダヤ人は金融を牛耳って世界を支配している」
というユダヤ人陰謀論を信じていたのは、ナチスドイツだけでなく、日本でもそうでした。
1918年年頃にロシア経由で、日本にもユダヤ陰謀説が流れてきて、ユダヤ人からアジアを守るために朝鮮、中国、東南アジアとその勢力を伸ばして行ったようです。

当時の政府や軍部がどれだけユダヤ陰謀説を信じていたか怪しいですが、アジアに進出する大義名分になる役目は果たしました。

 

陰謀を完全に見抜けるような方法はない

 

辻氏は陰謀論の嘘を完全に暴けるような、全てのものごとを精査できるほどの情報も入手できないし、それを正しく判断できる能力も持ちえないと断言しています。
ただ、驚くような情報、信じたくなる情報を目にしたら、1度立ち止まってよく考えてみるべきだと結んでいます。
昔では信じられない事件・事故が多発しているので、陰謀論の罠にはまらないように気をつけたいです。