これからの日本は1人で生きるのが当たり前。
となると今まで肩身の狭かった独身の方が多数派に……
これは既婚やパートナーがいる人にとっても衝撃です。
「お1人様」「ソロ焼き肉」「ソロキャンプ」など1人でも割と、排除されない空気にもなってきました。
価値観の逆転する未来、どう生きていけばいいのか?
荒川和久・中野信子著「1人で生きる」で日本における独身者の実態と生きる幸せを考察します。

 

 

世界は独身男で溢れかえる

 

2040年後は、独身者が人口の5割になり、64歳の既婚者は3割に。
男性の3人の1人、女性の5人に1人は生涯未婚となります。
2040年では高齢者人口は3900万人で、独身が4600万人となり、高齢国家と言うよりも独身国家と言えます。
高齢ソロ男は490万人、高齢ソロ女は1260万人で、年をとると圧倒的に女子が多くなって、やっと男性はモテ期到来と言いたいところですが、男性の方が亡くなって数が減っているだけで、喜んでばかりはいられません。
結婚適齢期の男女差は300万人で、完全な男あまりです。
男性は再婚相手に初婚女性を選び、再婚女性は再婚の男性を選ぶと言います。
荒川氏はこの状態を「時間差一夫多妻制」だと言っています。
離婚・再婚を繰り返す人は何回も結婚するのに、1回も結婚できない人は一生できない。
これは日本だけではなくて、世界的な傾向で、北欧が最も顕著だと言います。
アメリカでは900万人、中国では3000万人、インドでは5000万人も。
全世界で2億人の未婚男性が余ると言われています。
男性社会の格差が拡大して、男性同士の熾烈な戦いが訪れているのです。

 

地方に男性が余りまくる

 

関ヶ原あたりを境に東日本が男余りになっている傾向があります。
1位茨城県、2位栃木県、3位福島県、主に北関東に独身男性が多いようですが、東京だけは女性が集中しており、男あまりがないようです。
東京人口一極集中と言いますが、日本の人口は減り続けているのに、1都3県は人口が
爆増し、愛知、福岡、沖縄、など人が集まるところに人口がどんどん集中していきます。
地方の活性化とか言いますが、数字的には真逆な現象が起きており、現実には都会の方に人が集まっていることが分かります。
都会と地方ではコロナ感染者の数が桁違いになる理由が分かります。
しかし、同じ東京でも、女子は港区近辺に集中、男性は足立区辺りに集中しており、都会に住んでいるからと言って女子に出会えるわけではないようです。

人間には1人でいたい人と、大勢でいたい人の2種類ある

荒川氏の研究により明治、大正、昭和の高度経済成長期は離婚率の異様に少ない時代だと判明しました。
江戸時代には現代と変わらないくらい離婚率が高かったのです。
むしろ明治、大正、昭和の時代が特異的で、歴史的に見ると経済の成長が低い江戸時代以前の離婚率がデフォルトなのかもしれません。
「サザエさん」のような家庭が標準ではなく、家族構成が父母子供という家族構成さえも23%です。
既婚未婚にかかわらず人間には1人でいたい人と、みんなでいたい人の2種類に分かれると言います。
荒川さんは4種に分類しています。
「ガチソロ」結婚意識も低いし、1人の方が楽と言う人。
「エセソロ」独身だけどいずれは結婚して既婚の部類に入りたい人。
「カゲソロ」結婚したけれど本当は1人が好きなような人たち。
「ノンソロ」完全な既婚者です。
カゲソロはガチソロを行ったり来たりして、離婚と再婚を繰り返すと言うのです。

 

1歳半までの愛着関係が人づき合いを左右する

 

脳科学者の中野さんの説によると
エセソロとノンソロは他の人と一緒にいても、自分の領域を守れてバランスよくつきあえる人。
ガチソロとカゲソロはほかの人がそばに居ると不快に感じる人たちです。
人に親切にするのもどちらかというと言えば苦手。
関係の初期には頑張って親切にするけど、ずっとそれを続けるのは負担になってしまうタイプです。
生まれつきの要素と後天的に育まれる要素がありますが、後天的な要素はほぼ1歳半で決まると考えられています。
鍵になるのは養育者、つまり両親との関係で、この時期に適切な愛着関係が築けていないと誰かがそばに居ることを好まない、あるいは逆に誰かに近づき過ぎて失敗するというケースが多くなります。
昨今、未婚者が増えているのは、1歳半までにその適切な関係が築けていない人が多いのかもしれません。
「愛着理論」によれば、愛着スタイルには主に3つのタイプがあります。
「安定型」他者とのフランクな関係の構築が得意。
「回避型」他者とのフランクな関係の構築には消極的。
「不安型」他者に対する過度の期待や失望喪失の危機感を抱く傾向が多い。
タイプによっては、他者と共に過ごすことが得意でない人もいます。
誰もが結婚に向いているわけではないのが分かります。
独身が孤独死を迎えると思われるかもしれませんが、意外なことに孤独死した人は、ほぼ既婚者だといいます。
孤独死を恐れて結婚しようとするのは大間違いだと分かります。
結婚しなければならないという社会からの圧力や、人並みでいたいという自分自身の帰属欲求で無理して結婚した人が家庭を築けば、人間関係にひずみが起こる可能性が高まります。
ソロが多い社会の方がむしろ健全なのかもしれませんね。