亀山早苗著「人はなぜ不倫をするのか」には各ジャンルの専門家が不倫について語っています。
今回はその中から宗教学者の島田裕巳さんが語る宗教から見た不倫をまとめました。

宗教学から見た不倫

 

なぜ日本では不倫は許されないのか?

 

日本には第2次世界対戦が終わるまで姦通罪という法律がありました。
夫のいる女性とその女性と関係を持った男性に適用され、夫からの訴えがあってはじめて認められる親告罪でした。当時の日本は家父長制が根強く、男は女性の面倒を最後まできちんと見ると思っていました。
逆に言えば、女は男の所有物という位置づけでした。
つまり姦通罪は夫が妻を所有物としてある意味財産としてみなしていたために存在した法律です。
他の男の所有物である女に手を出し、男の庇護下にある女が別の男と関係を持つことが所有物の侵害ととられ罪になりました。
現在の日本でも不倫が悪という考え方も元々はこうした古い考えが元になっていると
思われます。
第二次大戦後、日本では姦通罪は撤廃されました。
不倫は民法上では不貞行為として責任を取られることがあっても刑法で罰せられることはなくなりました。

 

宗教によって不倫を縛ることはできなくなった

 

イスラムではかつては女性が姦通した場合「石打ちの刑」に処せられました。
下半身を生き埋めにして身動きが取れなくなった人に石をぶつけます。
即死しないように握りこぶし程度の石をたくさん用意して、人の苦痛も大きくて残酷すぎるさすがに今は適用している国は少なくなっています。
キリスト教の場合には姦淫してはならぬと聖書に書かれてあります。
アダムとイブには原罪という観念があり、神を裏切って禁断の木の実を食べた罪は大きい。夫婦以外の関係を持つのは絶対的な悪です。
仏教には五戒の中に不邪淫戒=不道徳な性行為を行ってはならないという決まりがあります。よこしまな性的欲求を戒めています。
江戸時代でも密通はしてはいけないこととされていました。
最近では財産分与においても嫡出子と非嫡出子の差別がなくなり、夫婦関係の外に出来た子供ができた場合財産でのリスクが高まることになりました。
倫理的宗教的なもので不倫は縛れなくなり、今は法的に縛るしかなくなったようです。

 

キリスト教、仏教、将来的には宗教は消滅する? その上、不倫への罪悪感もなくなる?

 

世界的にも入って宗教は消滅しつつあります。
ヨーロッパでは急速にキリスト教離れが加速しています。
1958年には日曜日にミサに通っていたフランス人は35%でした。
しかし2004年人はわずか5%になり2014年には0.9%しかいないという調査結果になっています。
子供に洗礼を授ける割合もここ50年で90%から60%にまで減少しています。
ここ50年くらいで見ると司祭になろうとする人は1/10になっています。
フランスでは無神論者が13%無宗教者が29%いると言われています。
日本人は無宗教ですと言っても初詣に他に墓参りには行きますが、フランスの場合は無神論者なら全く神とは関わりを持たなくなります。
2015年ドイツではカトリック教会について衝撃的な数字が発表されました。
2014年にカトリック教会を正式に離脱した人の数が20万人以上に上ったというのです。
その前年は18万人弱の人が離脱しています、
ドイツはキリスト教が主な宗教でローマカトリックとプロテスタントに二分されているのですかプロテスタントも2014年に20万人が離脱しているとイリスの新聞社が発表しています。
多くのドイツ人が教会から離れる一番の大きな理由は教会税の存在です。
ドイツには所得の8から10%が教会税として国に徴収されるという制度があります。多くの人はこの税金を払いたくないために教会を離脱します。
この制度はドイツのほかアイスランド、オーストリア、スイスさらにはスウェーデンなどの北欧にもあります。
キリスト教にかわってイスラム教の影響力が増しそう予想するかもしれませんがそうはならないでしょう。
イスラムは利子という概念を否定しています。
そうなると金融資本主義に馴染めません。
もしイスラム教である国々の経済発展が順調に続いていくなら、他の経済発展をした国同様やはり宗教から離れて世俗化していくしかないでしょう。
島田氏は、「いずれ人類社会から宗教は消え去れるだろう」と語っています。

 

宗教がなくなると、不倫もなくなる? そのワケは?

 

宗教の力が弱まっても、生活の満足度は上がっているとアメリカの心理学者は語っています。
ソーシャルメディアが発達しあらゆる人が暇つぶしできるようになったからだという人もいますし、宗教信じてもあまり見返りがないことに気がついてしまったのでしょう。
今若い人たち家族を作る意味も見失っている何のために結婚しなければならないのか分からなくなっています。
1960年代には日本で結婚してない人の割合は1%台でほぼ誰もが結婚していました。今はどんどん未婚が増えて、そのうち半数ぐらいが生涯未婚になるでしょう。
結婚がなくなれば必然的に、不倫も減ると、不倫をバッシングする人も、風潮もなくなっていくでしょう。