コロナ渦により簡単に外出ができない昨今。年配ならなおさらなことです。閉鎖された世界で急増しているのが国際ロマンス詐欺です。井出智香恵さんは「レディースコミックの女王」の異名を持ち、国際的にも知名度の高い漫画家です。なぜそんな名の知られた知性のある人物が全く会ったこともない人物に恋心を抱き、お金をだまし取られることになったのか?
むしろ地位や名誉があり、かつ知性がある人だからこそ、だまされるリスクがあるのが国際ロマンス詐欺なのです。
井出さんがだまされた原因を探ってみます。

 

 

原因その1・本名を公開するSNSを利用したから

 

井出さんがその人物と知り合うきっかけになったのはFacebook。Facebookと言えば、他のSNSと違い顔写真や本名・住所を公開しなければならないタイプのSNSです。
ほとんどの人が実名で登録しており、井出さんも本名で登録しているため、登録者は全てホンモノと思いがちです。
ところが実際は仮名でもなりすましでも登録できる仕組みです。
逆にFacebookだからこそだまされたと言ってもいいかもしれません。
井出さんは有名漫画家であり、作品は海外でも翻訳されて出版されています。井出さんの情報を知ろうと思えば、世界中の誰もが入手可能な状態。犯人は井出さんの作品のファンであると接近してきました。
その男が名乗った人物の名はマーク・ラファロ。
「アベンジャーズ」シリーズで超人ハルクを演じたスターです。
これがディカプリオとかブラッド・ピットだと、日本でも私生活がはっきり伝えられており、彼らの隣りにいる女性はみんな容姿抜群の美女ばかりなので、最初から相手にされないのは分かっています。
ラファエロの場合、アベンジャーズ以外は社会派の映画に出演していて知的なイメージ。
日本でも渋好みの映画ファンに愛されていて、私生活はミステリアス。ひょっとしたら日本の漫画にも興味があるのでは? というリアリティがあります。
なりすます人物の設定や、作品を観賞した上で、作品と井出さんの才能を褒め称えるなど、犯人は人の気持ちを操るのに長けていた人物であるのは間違いありません。
だます立場からしても、Facebookは顔出し、本名出しの人が一杯いるし、国際的に活躍している人物は、実際に海外からの連絡もあるでしょうから、ハリウッドスターからメールが来てもおかしくありません。さらに、海外から外国語のメッセージが来ても、今はGoogleの翻訳の機能で日本語に訳してくれます。
便利になった半面、国際的な詐欺にだまされてしまうリスクも大きくなっています。