「レディースコミックの女王」井出智香恵さん(当時71歳)はハリウッドスター・マーク・ラファロ(当時51歳)を名乗る人物とネット上で知り合い、最終的に総額7500万円をだまし取られてしまいます。ハリウッドスターが自分に恋する……なんて、現実には絶対にありえない状況ををなんで信じ込んでしまったのか?
事情を知ると「なるほど自分でも信じてしまうかもしれない」と納得します。

 

 

原因2・本人の動画・画像・身分証明を公開

 

井出さんの方は写真や動画を送っているのに、マーク側はちっとも画像や動画を送って来ません。
本当に本人か疑いが芽生え、「あなたは本当にマーク? だったら動画を送って」とメッセージすると、しばらくすると当人の動画のメッセージが送られてきました。その姿は紛れもなくマーク本人。おそらくネット上に上げられている動画を切り取ったものでしょう。しかし、その時は分からず、同居している娘さんも立ち合ってマーク本人だと確信するように……
実は現代ではアプリで顔写真から自分の動きを連動して話をすることができます。
簡単に別人になりすますことができてしまうんですね。
送られてきたマーク自身の画像、その他の画像も全て、ネット上で簡単に入手できてしまうものでした。
その後も、本人の写真入りの身分証明は、公開されている生年月日と同じで確信を深めていきます。

 

原因3・最初の結婚に破れ、長い心の隙間があった

 

井出さんの結婚はけっして幸せなものではありませんでした。夫は井出さんに対するDVを執拗に繰り返し、40歳で離婚したときは子供3人を育てるために必死に漫画を書き続けました。その後、現在の地位を得て、生活は豊かになっても、けして精神的に満たされることはありませんでした。ずっと孤独に苛まれ続けていたのです。そんなときに自分の存在を全部肯定して、愛してくれる言葉。
「君無しでは生きられないよ」
「ボクは世界で一番幸せな男だよ」
詐欺師は人の心の隙間に忍び寄ってきます。

 

原因4・お金をだますようにたくみな伏線

 

偽マークは出会ってから最初のうちに、マークと妻の関係がうまくいっていないことをほのめかしていました。
やがて、井出さんに心が傾いていき、井出さんに愛の言葉をささやくように……
そして、極めつけは画面越しでお互いの指を切った血を画面越しにくっつける儀式を行います。これが精神的な契りを意味するのか?井出さんはマークとの恋に真剣になっていきます。
そこから完全に「井出さんの心を掌中におさめた」と確信を得たのか
詐欺師はたくみに井出さんから少しづつ、お金をひき出していきます。もちろん妻との不仲はだますための伏線だったのです。