ハリウッド俳優マーク・ラファロを偽りFacebookで井出さんに近づいた詐欺師がいよいよ本領発揮して井出さんから少しづつ巻き上げていきます。

 

 

すでに伏線を張っているのであっさりお金を支払う

 

ある日、マークは井出さんに「飛行機代を送金してくれないか?」と頼むメッセージを送ってきます。
離婚調停のいざこざで自身の銀行口座が凍結されており、お金が引き出せないというのです。
マークが指定したのは名前と国、都市名だけで送金できるサービスで送金管理番号があれば世界中でどこからでも、どこへでも送金でき、相手も引き出せる仕組みです。

井出さんが飛行機代約13万円を送金すると、詐欺師は「こいつからは簡単に鐘を引き出せる」と踏んだのか今度は、コルセットで固めた片足の画像と共に、大怪我をしたので医療費を送って欲しいとメッセージが再び約20万円送金します。
しかし、約束の期限が過ぎても返金される気配はありません。
かわりにキャッシュ12億円をプレゼントするというのです。
しかも、これは二人きりの秘密だと念を押されます。
代理人のジョンという黒人が現金をケースに入れる写真が送られてきます。
ジョンの飛行機がついたときに空港の税関に現金を通すための書類作成のために約350万円必要だというのです。
井出さんが支払うと、ジョンは黒いケースを持って現れました。
黒いケースの中には約束通りに$札がどっさり……と思いきや、ケースの中にあるのは真っ黒な紙の束です。

ジョンはその中から一枚を取り出して、ある液体をかけると一瞬で$札が姿を現します。
あとでこの札で、銀行の自動両替機を通してホンモノの$札だと確認します。
これですっかり、井出さんは黒い紙はホンモノの12億円だと信じこんでしまいました。
実は$札は最初の一枚だけで残りの黒い紙は本当にただの黒い紙でした。しかし、ホンモノの現金と信じる井出さんに、マークはオイル代、運搬費、オイルの税金などと次々と必要な金を要求。
そんな金など12億円と比べれば大した額ではありません。

だんだんと手元の金が底をついてきて、知人や果ては子供にまで借金をするようになります。
井出さんは子供達の制止の声も聞かず、取り憑かれたようにマークへの送金を繰り返していきます。
この時点で、マークとは一度も会えておらず、井出さんの焦点はマークとの恋愛よりも受け取った12億を現金化したり、守ったりすることに向けられています。
オイルがなければ現金化できないので、オイル代にどんどんお金を注ぎ込む、さらにマーク
のまわりには登場人物が増えて、さらにストーリーが複雑化していき、3年半の間に7500万円をだまし取られ、結局、井出さんは4,000万円の借金が残されました。
長女にマークの送ってきた画像がネットでどこでもひろえる画像だと分かり、ようやく詐欺だと気がつきます。
井出さんはマークとのやりとりを全て記録しており、その全てを地元の警察署に持って行き、被害届を提出しました。
しかし、受理されたのは実際に名前が書かれてあった150万円分だけ。

あとは実際は管理番号だけでやりとりできるシステムだったために、犯人を特定できなかったようです。
井出さんは被害を告白し国際ロマンス詐欺の注意喚起する啓蒙活動を行っています。
また、それをネタにして漫画にすればまた復活することもできるでしょう。
折角、貯めた老後資金を失ってしまうと、取り返しがつきません。
SNSで接近してくる、見ず知らずの人物には十分注意しましょう。