日本大学教授中村英代さんが執筆した「嫌な気持ちになったら、どうする」では、ネガティブな感情は本来の自分ではなく、一時的に憑依しているものだとして、ネガティブな感情を認識して手放す手法が紹介されています。
中村さんは幼い頃からずっと生きづらさを抱えて生きてきました。社会学の勉強をするうちに、それは育った家庭環境が原因だったと気がつきました。
中村さんの家庭は「ドーナツ型家族」だったというのです。
ドーナツ型家族とは?
どんな家庭でも外からはその本質を知ることはできません。中村さんもはた目から見ればごく普通の家庭で育ちました。
しかし、中村さんの父親はいわゆる外面がいいタイプで、妻や子供に対しては全く目を向けませんでした。もらいものをしても、家族に分けることなく近所の人や親戚にあげてしまいます。
そのくせ、家に入ると常に不機嫌で、怒りを妻や子供にぶつけます。そのため母親は常に父親の愚痴ばかりを子供にこぼしています。
外でいい顔をすれば、他人からは「あの人はいい人ね」と評判がよくなります。家族に優しくしても、外から評価を受けることはありません。中村さんの父は「他人からの評価」が価値観の軸になっており、家族に対する思いやりを持っていなかったといいます。
そんな家庭は外からはいいように見えても、中は空洞のドーナツ型です。その空洞の中に怒りや愚痴などネガティブな感情が入ってくるので、住んでいる方はたまったもんじゃありません。
若者の中には家に帰らないで、外で友達とばかり遊んでいる人がいます。そんな人はやはりドーナツ型家族で、家に帰ってもろくなことがないので、外で遊んでいるのかもしれません。
理想の家族はあんドーナツ型
一方、家族や身近な人を大切にする家族もあります。それが「あんドーナツ型家族」です。
あんドーナツのあんこは言いかえると愛情です。真ん中にあんこがぎっしり詰まっています。ただ生きているだけで愛されていると実感できます。
何かができるからではなく存在そのものが愛されているのです。家族が心の拠り所になるので、家族のメンバーは外の社会でさまざまな挑戦ができます。
外で辛いことがあっても、家に帰ることで、癒されて元気を回復してまた外に出ることができます。
はた目から見たらどちらも普通の家族でもドーナツ型家族とあんドーナツ型家族では全く居心地が違うようです。
もしドーナツ型家族で育ったとしても、自分が作る家庭はあんドーナツ型家族でありたいものです。
しかし、中村さん曰く、「感情は伝染する」ということなので、ネガティブな感情はできるだけうち消して、ポジティブな感情で家を満たすようにしたいですね。
あんドーナツ型家族からはけして不倫は生まれません。不倫が起こるのは必ず、中が空洞のドーナツ型家族なのは間違いありません。