弁護士菅野朋子さんは、中高校生のときに壮絶ないじめを経験したことで、うつや摂食障害などに苦しみます。その後、回復して弁護士資格を取りいじめ問題の解決に尽力しています。著書「いじめられっ子だった弁護士が教える自分の身のまもり方」から、いじめの構造と対処法を紹介します。

 

 

 

ドラえもんのキャラクターで分かるいじめの相関図

 

本書で菅野さんはいじめを「ドラえもん四層構造」として解説しています。まず、のび太がいじめられっ子、ジャイアンはいじめっ子、スネ夫はいじめっ子に従う子、しずかちゃんはいじめに直接関わらず側で見ている傍観者的立場、という4タイプに分類できます。いじめっ子はたった一人ではいじめをしません。スネ夫のようないじめっ子に従う子がいなかったら、ジャイアンはのび太をいじめないというのです。ジャイアンのいじめがエスカレートするのは、スネ夫タイプが後押しするから。ジャイアンは周りにいじめをおもしろがる味方がいるから、ジャイアンはいじめを繰り返します。そうなると、スネ夫のいじめっ子に従う子が出ないようにすることが大切になります。追従者も結局は主犯の共犯なのです。

さらに菅野さんはいじめられっ子の心をコップに入った水にたとえます。一つ一つのいやがらせは大したことなくても、それがつもりつもって最終的にはコップの水が溢れだしてしまいます。
それは結果的に、不登校やひきこもり、最悪は自殺にも繋がっていきます。いじめている側は「大したことない」と考えていても、いじめられている側は相当なダメージを受けているのです。

 

いじめられたら徹底的な記録と証拠の確保が肝心

 

実際にいじめられたら、菅野さんはいじめの詳細を徹底的に記録することを推奨しています。これは探偵事務所が行動調査で依頼主に勧める方法と同じです。いつ何をされたか詳細な記録を取っています。学校側にいじめを報告する場合に、詳細が曖昧だと信じてもらえないケースもあるからです。記録するときには「ドラえもんの四層構造」を思い出して、いじめ側を徹底的に観察し、誰が首謀者で、誰が追従者かを把握しておきましょう。

またスマホやボイスレコーダーでいじめの詳細を録音・録画するのも有効です。またいじめを受けたら、誰かに相談しましょう。相談する相手は傍観者的な立場の人で親身になってくれそうなしずかちゃんタイプが理想ですが、相談できない場合もあります。

親や先生など信頼できる周りの大人に相談しましょう。親や先生が相談に乗ってくれない場合はいじめ相談を行っている自治体、全国の弁護士会が行う無料電話相談のような取り組みもあります。いじめを感じ取ったら早め早めに行動することが肝心です。