動物認知行動学者アレクサンドル・ホロウィッツが書いた「犬から見た世界――その目で耳で鼻で感じていること」は犬から見たら世界はどのように見えているからを詳細に解説した本です。
人間の主な感覚器官は視覚です。
目で見えるものから情報を受け取って、反応します。
犬の場合は鼻――嗅覚で情報を受け取り、反応します。
人間のように言語を持たない犬は記憶を持たずに、一瞬一瞬を生きているのです。
このようなものの見方を「環世界」=環境から見える世界と言います。
1930年にドイツの生物学者ユクスキュルが提唱した概念です。
ユクスキュルは「生物から見た世界」でダニの生態を例にして、環世界を解説しました。
目のないダニはものを温度で感知します。
森の中に侵入してきた動物たちの温度を察知して、接触して、触覚で毛のない地肌を探りあてて動物の生き血を吸うのです。
ユクスキュルの環世界の概念を継承する生物学者・日高敏隆教授によると生き物はおしなべて、客観的で科学的な見地で世界を見ていないと断言します。
その動物には独特のイリュージョン=幻想があり、そのイリュージョンに導かれて行動しているというのです。
人間も生き物の一種なら、イリュージョンにとらわれていてもおかしくありません。
人それぞれのイリュージョンがズレてるから、人間社会ではトラブルが絶えないのかもしれません。
浮気者の環世界
男でも女でも根っからの浮気症の人がいます。
一般の価値観では婚姻か、または特定の相手がいたら浮気は厳禁です。とは言うもののこれは、世界や宇宙の絶対法則で浮気をしたら最期、雷が落ちてきて、命を奪われるワケでもないので、貞操観念は人それぞれです。
探偵の経験上から見ても、浮気をしていて罪の意識を感じている人はいません。
とくに、本当に魔がさしたとしか言いようがない真面目な人はともかく、浮気症の人は浮気に対してそもそも罪悪感がないように見えます。これは本当に犬が匂いがあるものに反応して「はじめに鼻ありき」で、始終嗅ぎ回るように、セックスをしたい人は性欲を満たすものを始終嗅ぎ回って、性欲を満たしたと思ったら、飽き足らずに次々と色欲を満たすために動き回ります。
これは最近言われているセックス依存症のような人ともまた違うタイプのようです。
依存症の場合、本当に激しい欲望を抱きながらも、実際には性の場面になると役に立たず欲望と身体の反応がちぐはぐになります。
全ての依存症の人は、依存するものにたいへんな嫌悪や苦しみを感じていますが、この手の人はあくまでも楽しくて、快感でやめられないのです。
ギャンブル、酒、性癖、スマホ、依存症になる程度でもないが、悪癖がやめられずに周囲に迷惑をかけている人が一番厄介かもしれません。
しかも単に浮気症の人の場合、特定の人と長くつきあうということはないので、法定離婚原因である不貞行為になりづらい傾向があります。
何人切りという関係を持った数を自慢する人は特定の人と継続した関係にはなりづらく、1人の人と長く浮気した人の方が不貞行為とみなされ慰謝料の額も上がります。
しかし、複数の人と浮気した人の方が社会的制裁は強く、特定の人と長く浮気した人の方が比較的弱いと言えます。
複数の女性と関係を持ったと言われるアンジャッシュの渡部建さんはいまだに芸能活動を再開できていませんが、1人だけの人と長く不倫関係だった俳優さんは早々に活動を再開しています。
浮気症の人はまさにはじめに「性器ありき」で生まれたような人なので、そもそも結婚や恋愛には向いてないのはあきらかです。
浮気をすることもコミで理解してつきあっていくか、きっぱり別れるしか道はなさそうです。
専業主婦願望の環世界
終身雇用で旦那さんの収入があれば一生安泰であれば成り立っていた頃は、外で働きたくても専業主婦でいなければならなくて、自己実現したくてもだきなかった女性がたくさんいました。
しかし現代では結婚を希望するほとんどの男性が妻には共働きを希望しています。
それにも関わらず専業主婦願望を持って、専業主婦を認めてくれる人と結婚したいと希望してなかなか成婚できない婚活女性や、夫が働いてほしいと思っているのにずっと家庭に居座る妻も少なくないようです。
これは自分の母親を見て「自分もああなりたい」と思うよりも、仕事社会の人間関係の難しさ、煩わしさに辟易して、家で過ごしたいと思うようになったのでしょう。
身の危険がある外に出て活動するよりも、自分のテリトリーの中で安全に暮らしたい。
専業主婦願望を持っている人は保守的な動物に近い環世界を持っているのではないかと考えられます。
2021のドラマ「リコカツ」では離婚活動中の主人公夫婦の両親も離婚してしまいます。夫・緒原紘一の母は専業主婦でしたが家を飛び出して仕事を見つけます。
職場では下の名前で呼ばれて、はじめて緒原さんの奥さんとか紘一くんのお母さんと呼ばれなくなったと言います。
このように所属するものの一員としてではなく、自分個人として認識して欲しいと思っている人もいれば、個人として人と向き合うのが辛い人もいます。
そんな人は逆に誰々ちゃんのママ、誰々さんの奥さんと呼ばれる方が楽なのです。
とはいえ、現実的に多くの家庭が専業主婦では家計が苦しいのではないでしょうか?
そんな人には自宅にいて働ける在宅ワークがたくさん出揃っているので、おすすめです。
専業主婦的なマイテリトリー、マイペースを守りながら、稼ぐことも可能な環境になりました。
家庭で行う仕事だと内職のような、地味でコツコツとやってしかもあまり稼げないという印象がありますが、最近は外でバリバリ働く人と変わらない位稼げる人もいます。
まとめ
今回は動物の環世界になぞらえて、常識とはかわった人からは世界はどう見えているかを考察してみました。科学的学説ではなくあくまでもお遊びなのでご了承下さい。