世の中でトラブルを起こすのはどこでも敵を作る「対立屋」という人格で、実は組織のトップや政治家に多いタイプ。
さらに犯罪者に多いソシオパス(反社会性)パーソナリティ障害、常に人の上に立ちたいナルシスト(自己愛性)パーソナリティの3つの要素が加わると邪悪な人格「いかさま王」となって、もっとも独裁者に多い人格になります。
ビル・エディ著「危険人物をリーダーに選ばないためにできること」から、「いかさま王」が民衆の手によって、国家を支配する方法を解説します。
攻撃の片棒を担ぐ人を手なずける
ナルシストとソシオパスは魅惑的な人格をしているので、自分の味方を集めるのは簡単です。彼らに愛されていると思い、ついつい協力してしまいますが、全て自分が権力を握り、国家を支配することだけが目的。
非難の標的を攻撃する
いかさま王は片棒を担ぐ人たちを団結させるために架空の敵を作り出します。敵になる理由は理不尽でその根拠はほとんどありません。共通の敵を作り出すことで連帯感がうまれます。片棒担ぎは通常なら犯罪に当たる行動も、敵であり、大義名分のせいで正当化します。
片棒を担ぎに命令した「いかさま王」は手を汚さずに、敵を排除できます。
コミュニティを分断する
「いかさま王」は最初に掲げたスローガンをいとも簡単に撤回し、今度は弾圧するほうに回ります。労働者の解放を訴えるために資本家の妥当を掲げたスターリンや毛沢東は国家を手中に収めると、今度は手のひら返しで、農民を支配する方に回ります。百姓から天下をとったと言われる豊臣秀吉も、天上人になると農民を抑圧する側にまわります。
万人を支配する
いざ権力を収めたら、今度は邪魔者を徹底的に排除していきます。権力を手中におさめるまでは自分の協力者だった者も、自分にとってかわるほどの優秀なものだったら邪魔になる人物は徹底的に粛正していきます。源頼朝は平家を打倒するために先頭で戦った弟・義経を排除。本能寺の変の直前の信長も、今まで貢献してきた家臣を次々と追放しています。独裁者に逆らう者はついにいなくなり、まわりはイエスマンだけになります。
権力が手に入ると「いかさま王」のまわりの人は4つのグループに分かれるといいます。
熱狂的な支持者、絶対的に抵抗する反対派、大人しい穏健派、幻滅して逃げる棄権派です。後の3者が一緒になれば、必ず「いかさま王」とその支持者を打倒できるのですが、「いかさま王」はその3者が常に対立をするように仕向けて、けして団結させません。
国会でも野党が同盟を組んで、与党を倒そうとしても、必ず内部で戦いが起きて、権力は同じ人のところにあるのに似ていますね。