犯罪学者の清永賢二氏の著書から、今回は犯罪者目線からの防犯についての心構えを解説します。

理屈先行になりがちな犯罪学ですが、清永氏の研究は受刑している犯罪者から直接取材しているので、説得力が違います。

防犯は、ただモノを盗まれるだけでなく、盗聴盗撮、ストーキングの予防にも有効なので、
探偵に依頼するようなトラブルの予防にもつながります。

犯罪者の心理を知って、被害予防に役立ててください。

 

 

 

犯罪発生ボール理論 犯罪者は一見、どこにでもいる人間である

 

まだ文明が発展する前の村社会では村の中の人を全員が知っていました。
その中で犯罪を起こすと村の中ではもう生きていけません。
自然と犯罪件数も少なくて、村に害を及ぼす者は外の者でした。

現代社会になり、となりに住んでいる人がどんな人なのか何をしている人なのか全く分からない時代になってきました。

日常的な社会はサッカーボールのようなもので普段は、問題なく空気も十分入っていて、機能しています。

ところが、使っているうちに傷んできて、歪み、割れ目、裂け目、が生じます。
そこに犯罪者が目をつけて、犯罪が発生するのです。
また、近隣の人たちとの人間関係が希薄なので、外部の人間が簡単に侵入してきて、危機の共有ができないので、すぐそこに危機が迫っていても気が付きません。

 

犯罪者はどこのポイントで犯罪のやりやすさを見極めるのか?

 

ドラマなどでは犯罪者はわかりやすい顔をしています。
しかし、実際の犯罪者は普通の人で、一般の人となんら区別がつきません。
そこから、一瞬の隙間を目をつけて、チャンスを逃しません。
犯罪がやりやすい場所、時間、状況を常にチェックしておき、犯行に及ぶのです。

犯罪者は3つの点に気をつけて、犯行に及ぶか判断します。
1・接近性ー近づけるのか?
2・逃走性ー犯行後すぐに逃げられるのか?
3・直感ーこれは犯罪者の経験と勘に委ねられます。

つまり、うまく対象に近づけて犯行を実行し、簡単に逃げることがいいのか?
を常に見ているのです。

 

怪しい人の見極め方

 

見知らぬ人だったらそもそも怪しくないない人なんていません。
防犯の意味から言えば、人間に悪い人なんていないという性善説は危険です。
では怪しい人から本当に犯行に及ぶ【危ない人】とはどこが違うのでしょう?

怪しい人はその場にふさわしくない変な人である場合が多いのです。
季節感のない服装をしている。
その場所にふさわしくない立ち居振る舞いをしている。
変な人が全て犯行につながる【危ない人】なワケではありませんが、変な人の中に紛れこんでいます。

変な人の中でも怪しい人は、対象に対してコンタクトをとってくると言います。
話しかける、目配せ、仕草、ほほえみ、言語あるいは言語外のコミュニケーションで犯行対象にアプローチします。
犯罪者のほとんどが犯行前に被害対象にコミュニケーションをとると言います。

たとえ、プイと顔をそむけても、犯罪者はそれを意思表示だと読み取るのです。

 

怪しい人から危ない人に変わる兆候

 

犯罪者は怪しい人から危ない人に急速に変化します。

1・急に距離が縮まる。突然、早足になる。
2・様相が変わる 表情が変わる。目が一点に凝固している。周囲の様子を気にしてさかんに目線を動かす。
3・態度が変わる
身体を掴む。大声を出す。車に連れ込もうとする。仲間を呼ぶ。
4・危なさが目に見えて変わる 
ナイフなどの武器を持って迫ってくる。拳を固めて殴りかかってくる。

これらのどれをとっても気がついた時には、逃げようがない状況でしょう。
危ない人、危ない状況にはいち早く気がついて、対処する必要があります。

 

犯行をやりにくくする

 

犯行を防ぐには犯行をやりにくくさせ事前に回避するようにするのが最善手のようです。

前述した近づけるか? 逃げられるか?できそうか? 犯行しやすい3本柱を潰していくことが必要です。

犯罪者に
「これはやりにくい」と思わせて、最初から犯罪を引き起こさないことが大切です。

1・領域ー自分たちの空間を守る
2・監視性・見守り性ーそもそも普段から不審者を監視し、狙われそうな女性・高齢者・子供などを見守るように気をつける仕組みがあれば、
3・動線性ー犯行をしにくい状態、逃げにくい状態にする。
4・拘置性ー不法なことをしたらそこへ留められる

この4つを深めるには8つの手法があります。
1・遮断
2・威嚇
3・阻止
4・回避
5・隔離
6・強化・教育
7・矯正
8・環境改善

 

まとめ

 

難しい言葉が羅列しましたが、常に警戒心を失わずに地域ぐるみで不審者を警戒することが、なによりも重要なようです。
とかく現代人は出かけている時もスマホを手放さないで、よくも悪くも回りに目を配らずに自分の世界だけに閉じこもりがちです。
犯罪者からしてみれば、これだと犯行がやりやすい餌食になってしまいます。
犯行現場を検証すると、意識的か無意識的か犯罪者は犯行をやりやすい、そして逃げやすい場所を選択しています。