「りらくる」の看板を見たことがない人はいないでしょう。
竹之内教博は「りらくる」を立ち上げて7年間の間に全国に600店舗展開。
その上で、「りらくる」を売却して270億の資産を手に入れました。
こんな夢みたいなサクセスストーリーは探偵事務所のコラムにはかけ離れていると思うかもしれません。
探偵事務所が扱う仕事にはお金が絡むものも沢山あります。
中にはビジネスのあり方を根本的に間違えて、窮地に陥っている人もいます。
竹之内さんの行った手法は、一見非常識に見えますが、実はビジネスの根本原則に当てはまっており、学べる要素がいっぱいです。
竹之内教博著「無名の男がたった7年で270億円手に入れた物語」の中から「りらくる」のビジネスモデルに絞ってお伝えします。
りらくるビジネスの基本コンセプト
竹之内さんが「りらくる」のコンセプトを考えたときのポイントは、
・はじめからチェーン展開するつもりでビジネスを考えた
・徹底的に利益を追求する
・お客様に必要なものだけを絞りきり、後は省略する。
ビジネスはあくまでも売上げ、利益を追求するものと割り切りました。
つまり、「りらくる」の中で竹之内さん個人が持つこだわりは全くないのですね。
だからこそ、自分が手塩にかけたビジネスをあっさりと手放すことができたのでしょう。
一般の人が実店舗を出す場合は、それなりに修行を経て店を出します。
自分の人生を賭けたものだけに、こだわりを手放すことは難しいです。
店を営むということとビジネスを成功させることは、同じのようで実は全く別次元のものなのかも知れません。
オリジナルは必要ない。うまくいっているビジネスを徹底的に真似する
「新しいビジネスを始めるには誰も思いつかなかった新しいビジネスアイデアを編み出さないといけない」
と思う人も多いでしょう。
でもこれだと大失敗する可能性が高いと竹之内さんは断言します。
今まで誰もやらなかったことを挑戦したらほとんどが失敗するというのです。
「りらくる」も元は竹之内さんが常連で人気店のマッサージ店をそっくりパクりました。
「成功するには既に成功しているお店をそっくり真似すること」と竹之内さんは言いますが、この言葉には補足が必要です。
たとえばコンビニが普及している時点で今から新しいコンビニビジネスを始めても認知されるのは難しいでしょう。
既に成功しているビジネスがありながら、まだ世間が目につけていないものをパクるのがポイント。
この着眼点を持つのがなかなか大変で、そこが竹之内さん成功の秘訣の1つです。
ハイスペックな技術は必要ない。マッサージの技術を3日でマスター
マッサージのお店なので竹之内さんは元々マッサージ師だったのかと思われるかもしれません。
竹之内さんは元々美容師でマッサージは完全素人。
マッサージ店を始めるのに経験のあるプロを雇うと人件費が高くつきます。
そこで全くの素人に講習を受けさせて技術を学ばせます。
それでもマッサージ師の全ての技を習得しようとすると、何年もかかってしまいます。
そこで1つの手業だけに絞ります。
その手業だけで全身のマッサージができるように簡略化しました。
美容師時代に既に技術を1つに絞って、同じようなヘアスタイルをお客様に提案する手法を考えていました。
最初は竹之内さん自身がマッサージ師の指導を受けたときは、なんと3日で技術をマスター。
マッサージ一筋のプロの目から「これがマッサージと呼べるか!」と呆れるかもしれませんが、それだから安い金額でマッサージを提供できるのです。
技術はお客様が満足できるレベルで、それ以上の技術を習得するのは無駄。
そのおかげで、急速に600店舗を実現できました。
ただしこの手法を全てのビジネスに当てはめるのは危険です。
コムスンは介護保険の公的制度が実施されるのを見こして、短期間で1200カ所の拠点を作りましたが、見通しが甘くその後400カ所に縮小しています。
これもまた誰もやらなかった事業を最初にやったために失敗した事例かもしれません。
コムスンとりらくるは短期間で一気に店舗を増やしたことで共通していますが、1点が大きく違います。
りらくるの場合、最初は小資本で1店舗だけで手堅く始めました。
1店舗で8割の力で利益ができるモデルになってから、始めて他店舗展開を開始します。
1店舗で最大限の力を出して売上をあげて成り立っていた店舗を他店舗展開しても、1店舗目は創業者が力を入れていたから成功していただけで、他店舗になって創業者の目が届かなくて失速しては意味がありません。
りらくるの場合は最初から竹之内さんがいない前提でお店を回していました。
売却したので竹之内さんは完全にりらくるの手を離れています。
りらくるに似たようなライバル店が生まれて、創業のような勢いはなくなる可能性もあります。
時代の変化やビジネスモデルの寿命でりらくるも今まで通りの業績ではいられないでしょう。一番いいときに売却する割り切り方もさすがです。