2020年7月に北村匠海さん主演で放送されたドラマ「名探偵ステイホームズ」
自宅に引きこもったままの子供部屋おじさんがネットだけの情報を頼りに難事件を解決します。
ネットだけの情報だけではたして真相にたどり着けるのでしょうか?
ネット探偵はすでに海外では認知された存在で、ウクライナ紛争でのロシア報道の嘘も暴いており、すでに私たちの身近に存在するのです。
あの007も実はオープンソースインテリジェンスだった
2022年3月「ベリングキャット」という本が翻訳されました。
「ベリングキャット」は著者エリオット・ヒギンズ氏が創設した民間団体。
デジタルハンターと呼ばれる彼らは公開されたネット情報だけを頼りに、数々の国家や大企業のウソを暴いてきました。
この手法を「オープンソースインテリジェンス」略してオシントと言います。
映画やドラマでは組織の中に内通者や潜入捜査官が入っており、危険を冒して秘密を入手する――というパターンが多いですが、実は「007」で有名なM16にしても、CIAにしてもほとんどがオシントです。
オシントは最近できたものではなく、古くは「ウォーターゲート事件」「ロッキード事件」なども、公開情報を丹念に拾い集めた上に点と線を結んで結合させたものでした。
もっとも、ネットがなかった時代は役所の記録や雑誌などの情報もいちいち足を運んで調べる必要がありました。
今はYouTubeやTwitterやGoogleマップや公的機関や上場企業の公開情報を組み合わせて行います。
ベリングキャットの得意技は動画とGoogleマップを使って場所を特定する方法です。
動画に映りこんでいる建物や道路の形状を指紋認証にして、Googleマップで適合する地図を探し出します。
また2018年に発生した「ソールズベリー二重スパイ父娘毒殺未遂事件」でもロシア軍のデータベースから犯人を特定し、ロシア側が犯行を行ったのは民間人だったという発表を覆しました。
情報さえあれば誰でも使える方法で、「ベリングキャット」はロシア軍がウクライナ国境付近に武器を集中させている事実を発見し、戦争が始まる1年前から戦争が始まる危険に気がついていたといいます。
マスコミに情報提供して、戦争を食い止めようとしたもののマスコミに黙殺され、ウクライナ戦争が始まりました。
既にマスコミや国家機関をしのぐ情報収集力を手に入れているということですね。
こういうことからリアル探偵よりこれからはネット探偵の時代? と思われるかもしれませんが、やはり事実を裏取りする足を使った調査も欠かせません。
ベリングキャットは現地に行って直接調査する人員も協力しています。
「名探偵ステイホームズ」でも松本まりかの女刑事と協力して事件を解決したように、デジタルとアナログの連携が必須のようです。