インポスターとは詐欺師や偽者という意味ですが、インポスター症候群は詐欺師や偽者を指す言葉ではありません。突然今までの状況からかけ離れた高いポジションについて、「自分には身分不相応」「自分はそんな器ではない」と自分を偽者だと感じてしまう状態を言います。自分の才能を開花し努力してきたからこそ掴んだ栄光や地位。自信喪失の状態でいたら、折角掴んだポジションを失う可能性も出てきます。インポスター症候群はエマ・ワトソンやナタリー・ポートマンやオバマ元大統領夫人などセレブリティも陥ったといいます。
誰でも平等に輝けるチャンスがある環境が仇に……
SDGsの目標5では「ジェンダー平等の実現」が掲げられて、女性が重大な役職を任されるチャンスも増えてきました。さらにSNSの普及によって、昨日まで全く無名だった普通の人が突然、有名になりもてはやされることも身近になりました。しかし、誰もが平等に高い地位になれるチャンスが与えられていると同時に、いきなり高いポジションについて戸惑う人が増えるのも無理はありません。生涯に一度はインポスター症候群を経験する人は70%で、それには性別は関係ありません。インポスター症候群は誰でもなりうる心理状態です。
湧き上がってくる感情を認める
インポスター症候群になると以下のような感情が生まれます。
「怖い」「どうしよう」高いポジションに着くと新しい挑戦が多くなり、不安、抵抗、恐怖が芽生えてもおかしくありません。「申し訳ない」「恥ずかしい」今まで味わったことのない称賛を浴びたり、羨望の目で見られたりするといたたまれなくなり、当惑や罪の意識を持つことになります。
逆に新しいチャレンジには失敗がつきものなので、そこから人から非難・失笑をかったとしても、元々自信がないので「自分の実力なんて最初からそんなもの」と納得して、世間の評価に憤って「なにくそ」と頑張る方には行きません。
そして、失敗の末に世間の評価がダウンしても「それなら仕方がない」と諦めて、再挑戦する気力をなくす場合も多いようです。悪い結果になったら「誰々のせいでこうなった」と。他人を責める、また「私がこうだからこうなったんだ」自分を責めるなど、インポスター症候群の症状にされるがままだと、メンタルはズタズタになってしまいます。
このような状態になる前に
自分に湧き上がったネガティブな気持ちを抑え込んだり否定したりせずにまずはそのまま受け入れるようにします。その上で、自己肯定感を上げる作業を行います。小高千枝著『インポスター症候群』では、様々な自己肯定感を上げる手法が紹介されています。私たちは成長する間に様々な思い込みに囚われており、それが自分の人生が大きく変わる飛躍の機会に、ネガティブな作用を引き起こします。
思い込みを探し出し、その呪縛を解くことが自己肯定感を高めることに繋がるようです。